2020 Fiscal Year Research-status Report
医学的まなざしと女性の身体―解剖学と展示の政治性をめぐる国際比較研究―
Project/Area Number |
17K17596
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
妙木 忍 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (30718143)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 文化資源 / 医学史 / ジェンダー / 複製身体 / 余暇の社会史 |
Outline of Annual Research Achievements |
医学分野における女性の身体表象を分析対象とする本研究課題において、2020年度は、過去に海外調査で収集した資料を用いて、次のような視点から分析を進めてきており、継続中である。具体的には、横たわる女性の蝋人形がフィレンツェで作られた背景、それらがイタリア国内や海外に展示されるに至った過程、オーストリアやハンガリーに運搬された蝋人形の特徴から分析できる内容、クレメンテ・スッシーニの作品がカリアリやパヴィアなどイタリア国内に伝播した過程、類似した蝋人形がフランスで作られた理由などである。 加えて、2020年度は新たな文献を追加で収集し、検討を進めてきた。横たわる女性の蝋人形に関する文献、複製身体に関する文献、ジェンダーに関する文献などである。 2020年度は、新型コロナウイルス感染症の社会状況のもとで、海外・国内の調査をおこなうことはできなかった。そのため、国内でできることを中心に研究をおこなってきた。 日本に展示されていた医学模型との比較という観点からは、医学模型が展示されていた元祖国際秘宝館伊勢館(1972年開館、2007年閉館)および、1980年代に温泉観光地に発達した秘宝館(医学的要素の除去が確認される)の成立段階の資料の分析も進めてきており、それも継続中である。今後は、これらの分析も進めていく。 この日欧比較研究を通して、個別事例への貢献、複製身体についての理論的貢献、日本文化の特徴なども明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外調査が予定よりも進まなかった(新型コロナウイルス感染症の社会状況の影響を含む)。また、収集した資料や文献の分析に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査内容や資料の解読などを通して、まとめの作業に取り組む。
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Causes of Carryover |
(理由) 海外調査が予定よりも少なくなったため(新型コロナウイルス感染症の社会状況の影響を含む)。 (使用計画) 社会の状況を見ながら、研究に必要な支出を決め、研究を進める。
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