2022 Fiscal Year Research-status Report
医学的まなざしと女性の身体―解剖学と展示の政治性をめぐる国際比較研究―
Project/Area Number |
17K17596
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
妙木 忍 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (30718143)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 文化資源 / 医学史 / ジェンダー / 複製身体 / 余暇の社会史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、コロナ禍のため海外調査に行くことを控える状況であったが、これまでに収集した資料や文献を整理する作業を続けてきた。解剖学用ヴィーナスの由来と伝播に関する文献や先行研究の解釈などを進めてきた。ハンガリーのセンメルヴェイス医学史博物館にある解剖学用ヴィーナスをめぐる論考の原稿を書いてあたためているのだが、発表の機会が熟すまでにもう少し時間を要する状況である。 2022年度は、医学模型という観点から、日本の秘宝館(元祖国際秘宝館伊勢館、1972年開館~2007年閉館)の医学模型の展示を振り返る作業もおこなった。身体模造の観点から見る医学模型、身体模造の造形表現における外側からの模造と内部の模造についての分析、医学模型における全身か部分かという論点、日欧の双胎妊娠模型(特に、元祖国際秘宝館伊勢館とフィレンツェのラ・スぺコラ博物館の模型)、身体模造とそれが展示されるということへの考察、身体が観られるということについての考察などもおこなった。これまで海外で調査してきた視点も取り入れた。この考察は、模する技術の研究にも隣接し、接続するものであった。 本研究テーマの根幹にある、複製身体の模造やそれが展示されるという現象については、複製身体を作る側だけではなく、それを見ることを欲するという人々の欲望もみていく必要があり、その時代ごとの検討が必要である。この点についての視点も持ちつつ、研究を進めてきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外調査などが予定よりも進まなかった(新型コロナウイルス感染症の社会状況の要素を含む)。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査と資料の分析を通して、まとめの作業を進める。
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Causes of Carryover |
(理由) 海外調査が予定よりも少なくなったため(新型コロナウイルス感染症の社会状況の影響を含む)。 (使用計画) 社会の状況をみながら、研究に必要な支出を決め、研究を進める。
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Remarks |
妙木忍、2023、「模して観る 身体の模造」、山口睦、野口直人編『Homo Mimesis 人類はなぜ模するのか』(「模する」技術の発展と伝統的習俗の変容についての学際的研究―成果報告集―)、研究代表者 野口直人(発行)、pp.44-53。
東北大学研究者紹介(妙木忍)https://www.r-info.tohoku.ac.jp/
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