2018 Fiscal Year Research-status Report
Collection and Natural History: Study about Matumori Taneyasu's collecting activity and Natural History art Books.
Project/Area Number |
17K17598
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安田 容子 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (60726470)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 蒐集 / 博物図譜 / 松森胤保 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、歴史資料における記録とのこされたものから、自然と人間の関係および地域の歴史文化をひもとくことを目的とする。近世から近代にかけて庄内藩を中心とした地域において活躍した地域科学者として知られる松森胤保の著作を分析・検討することにより、生き物をはじめとするものの蒐集という行為に着目し、地域にのこされた歴史資料群の保存と活用についての方法の一つを提示する。彼の著作の一部を調査・分析・紹介することで、代表作とされる『両羽博物図譜』作成に至る、ものの蒐集や、鶴岡における近代の蒐集活動の分家庭意義を明らかにし、また資料の翻刻を行うことで、松森胤保著作の、地域での活用へとつなげていく。 本年度は『家蔵五玩雑録』(全五冊)のうち、第1冊・第3冊・第4冊、第5冊の翻刻作業を中心に取り組んだが、校正と内容の詳細な分析については未着手である。『家蔵五玩雑録』とは別に、光丘文庫所蔵の『遠客珎聞』に記された交流人物についての調査を行うことで、明治10年代の蒐集にかかわる人物交流を明らかにした。同書に載る今井貞吉にも着目し、高知県立図書館において調査を行った。今井貞吉との交流については、胤保著作に、彼からの影響を見いだす事はできなかったが、同時代の地域博物学者として注目すべき人物であることが確認された。また、同書の記録から、博物館に対する松森胤保の意見を読み解き、積極的に蒐集活動を行っていた明治10年代の松森胤保の博物図譜構想を明らかにした。博物図譜作成に至る蒐集活動の変化について、宮城学院女子大学キリスト教文化研究所研究年報において報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、翻刻資料集の1冊目を刊行する予定であったが、資料の文字が予想以上に読みづらく、さらに写真画像からは判読しづらい文字も多く翻刻作業が難航し、当初の予定通り進まなかった。そのため、当初予定していた日記類の調査および人物関係の調査についても、『家蔵五玩雑録』中の人物交流についての整理まではいたらなかった。一方で、『遠客珎聞』とそこに記された交流人物の調査から、晩年における彼の蒐集にかんする交流と博物図譜作成への意識についての成果を発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は翻刻資料集を完成させるための作業と調査を行う。また、現在までのこされてきた物品資料についての調査も行う。今まで行ってきた蒐集記録の分析および蒐集ネットワークの分析をまとめ、庄内地方における松森胤保の蒐集活動についての論文を発表する。
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Research Products
(1 results)