2021 Fiscal Year Research-status Report
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17K17602
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
村上 麻佑子 奈良女子大学, 大和・紀伊半島学研究所, 協力研究員 (70791565)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 災害史 / 古代史 / 貨幣 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、地中海地域など、東アジア外の地域における災害・飢饉発生と貨幣発行の関係性を探るための情報収集にあたった。古代地中海地域において貨幣は、貴金属からなる金銀貨と、卑金属からなる青銅貨幣、鉄製貨幣、銅貨などが存在し、貴金属を中心に造幣がなされている。これは古代中国や日本で卑金属の銭貨や布帛が発行の中心となったことと異なることから、まずその問題について考察した。その結果として、地中海地域の都市国家が、自給困難な対象、具体的には傭兵への支払いや他国との穀物取引に貨幣を使用したことで、高額な貨幣単位が求められたことが推測できた。古代中国の場合、兵や穀物の確保は、国内の農民層でなされるものであり、国家が貨幣を使用させる対象が異なっていることが、国家的貨幣の違いを生んだとみられる。他方で地中海地域における気候変動については、図書館等に赴いて広く調査することができなかったため、十分なデータを得られていない。この点については次年度の課題とし、両者の関係をさらに分析したいと考えている。 また災害や飢饉の発生と農業、および貨幣の関係構造をより普遍的な問題として考察するため、人類学の先行研究にあたりながら、理論の構築に努めた。具体的には、人類史における食料獲得のあり方の変遷、農業生産における奴隷の重要性について検討した。近年、ジェームス・スコットなどの成果により、人類史において農業は成立当初から奴隷を使役するかたちで展開したことが提示されている。この問題を改めて日本史の中に位置づけ、また災害・飢饉とかかわって展開する国家のあり方と、農業や貨幣の持つ意味の捉え直しを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度も昨年度と同じくコロナの影響で、図書館での史料調査や研究発表の機会を得ることが困難ではあったものの、課題についての認識を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の調査を踏まえ、成果報告として論文化することを目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、図書館利用や研究報告の機会を得ることができず、科研費の使用も困難な研究環境にあったため、次年度使用額が生じた。 次年度は、研究環境を改めて整える目的で使用する予定である。
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