2017 Fiscal Year Research-status Report
実践コミュニティ間の越境をともなった日本語学習者の学びに関する基礎的研究
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17K17606
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
島崎 薫 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 講師 (70746966)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 越境 / 日本語学習者 / 実践コミュニティ / アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、海外の日本語学習者がどのように複数の実践コミュニティ(Community of Practice: CoP)を行き来しながら、 日本語を使用し、学びを深めているのかを「越境」の理論を使って、明らかにするための基礎的研究である。CoPを学習環境に取り入れている豪州大学の日本語学習者/元学習者の CoP間の行き来のプロセスと学びの過程を縦断的に調査・分析する。「学び」を社会的な営みと捉え、社会における学習者の言語の使用と学びのダイナミクスの解明に大きく貢献し、言語の教室と社会をつなぎ、言語教育の現場を大きく変える示唆となることを目指す。 現在、キャリアや看護師の育成などの分野で使われている「越境」の理論の整理を進めるとともに、予備調査を実施し、豪州大学の日本語の元学習者、5名にライフストーリー・インタビューを実施した。在学中の「越境」よりは、大学を卒業し、働き始めるところで日本語を使用する仕事かどうか、日本に関係のある仕事かどうかなどといったより影響力のある大きな「越境」があることが分かった。特にこの5名からは「越境」を避けるきっかけや経緯について話を聞くことができた。同時に、過去の「越境」の詳細について振り返ることに限界があることが分かり、詳細にプロセスを明らかにするためには越境をしている最中の学習者/元学習者に調査する必要があることが予備調査からわかった。 今後は、倫理委員会への申請をし、豪州大学の日本語の元学習者の中で日本語で仕事をしている、または日本に関係する仕事をしている元学習者の越境のプロセスを調査する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献展望及び調査実施のための文献検討に時間を要してしまったことと、日程が確保できず、予定していたデータ収集のための海外出張2回のうち1回しか実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
予備調査の分析を進め、日本語を使用したり、日本に関する企業に就職しなかったという「越境」しないことを選択した過程について考察を進めるとともに、日本語の元学習者で、日本語で仕事をしている、または日本に関係する仕事をしている人たちにここに至るまでのプロセスに関してインタビュー調査する予定である。
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Causes of Carryover |
2回計画していたデータ収集のための海外出張が実施できなかったため、旅費や、収集したデータの整理や書き起こしのために申請していた人件費などで使用できなかった予算があった。2017年度に実施できなかった分のデータ収集も2018年度に実施する予定である。
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Research Products
(1 results)