2018 Fiscal Year Research-status Report
実践コミュニティ間の越境をともなった日本語学習者の学びに関する基礎的研究
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17K17606
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
島崎 薫 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 講師 (70746966)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 越境 / 越境的学習 / 実践コミュニティ / 日本語学習者 / アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、海外の日本語学習者がどのように複数の実践コミュニティ(Community of Practice: CoP)を行き来しながら、 日本語を使用し、学びを深めているのかを「越境」の理論を使って、明らかにするための基礎的研究である。複数のコミュニティや文脈、状況を行き来しながら学ぶ「越境」は、1つのコミュニティや文脈、状況での学びと異なるとされている。1つのコミュニティや文脈、状況での学びでは、そこで価値のあるスキルや知識が熟達するのに対し、越境を伴う学びでは考え方が変わったり、物の見方が変わったりすると考えられている(香川 2015)。本研究では、現在、キャリアや看護師の育成などの分野で使われている「越境」の理論の整理を進めるとともに、言語学習の分野での越境を伴う学びがどのように起こっているのかについて探る。平成29年度の予備調査では、豪州大学での学習者の越境の様子を即時的に調査することが難しい状況にあったことから、豪州大学の日本語の元学習者5名に ライフストーリー・インタビューを実施したが、この手法では越境の詳細について明らかにすることは難しいことが分かった。そのため、平成30年度は、海外で日本語を学ぶ学習者が日本という文脈に越境し、日本の大学の学生とプロジェクト共に実施するという実践コミュニティへ越境する際の学習者の変化をプロジェクト期間中という短い期間に限ってデータ収集することとした。学生同士のやり取りの音声録画や活動の様子の動画撮影など詳細なデータ収集を行い、またプロジェクト直後にインタビューを実施することで参加学生たちが考えたことや感じたことの詳細を聞くことが可能となった。平成30年度にアメリカの大学の学生とのプロジェクトで予備調査を行い、平成31年度(令和元年度)の本調査に備えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
予定していた方法や対象者での実施が難しいことがわかり、方法および対象者を変えて調査を実施しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に実施した予備調査をもとに、平成31年度(令和元年度)に本調査を実施する。予備調査同様、アメリカの大学で日本語を学ぶ学生が来日し、日本の大学の学生と一緒にプロジェクト行うという文脈での越境的学習について調査する。特に、プロジェクトの中の学生のやりとりを録音することで、どういったやりとりを行なっているのかを分析し、また越境によってどのような変化が起きたのかをインタビューやエスノグラフィーを使って調査する予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画のやむを得ない変更に伴い、旅費が減ったため。
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Research Products
(3 results)