2018 Fiscal Year Annual Research Report
Tracking of protein folding transition path by single-molecule fluorescence measurements
Project/Area Number |
17K17608
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小井川 浩之 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (40536778)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | タンパク質 / フォールディング / 遷移経路 / 一分子蛍光測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
一分子蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)測定によりタンパク質の折り畳み構造転移の際の遷移経路を追跡することを目指した。我々がこれまで開発してきたライン共焦点光学系とマイクロ流路セルを組み合わせた装置では、100マイクロ秒程度の時間分解能で一分子のFRET効率の時系列を取得できるが、この時間分解能では、遷移経路追跡を行うには不十分であった。 2017年度は、光検出器をEM-CCDカメラからハイブリッド光検出器(HPD)に変更する改良を行った。HPDに高頻度で入射する光子を高速カウンターで計数し、ほぼリアルタイムに記録することで、時間分解能を劇的に改善した。 さらに2018年度は、マイクロ流路表面に吸着しやすい変性剤存在下でタンパク質の折り畳み過程を観察するため、水浸対物レンズと比較的深い流路を持つセルを組み合わせる装置改良を行った。改良後、二重蛍光標識ポリアラニンの一分子FRET測定を行ったところ、表面吸着の影響が少なくなったことを確認できた。 2018年度は2017年度に引き続き、装置の性能評価も兼ねて二重蛍光標識した分子モーターF1-ATPase一分子の回転に伴う構造変化追跡を試みた。10マイクロ秒時間分解能で10ミリ秒程度の長さの一分子FRET効率時系列が得ることに成功した。構造変化が速いATP存在条件と遅いATPγS存在条件ではFRET効率の出現頻度分布に違いが見られたが、当初期待していたATP存在下での構造変化に相当する速いFRET効率変化はとらえられなかった。現段階でこの結果を解釈することは難しいが、チオリン酸とリン酸のF1-ATPaseから解離するタイミングの違いが見えている可能性がある。、 本研究によって生体高分子構造変化の遷移経路を追跡可能な一分子蛍光測定手法が確立できたため、今後様々な試料に対して分子動力学計算と比較できる実験が可能であると考えている。
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