2018 Fiscal Year Research-status Report
食物アレルギーの発症における腸内細菌叢の役割の解明
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17K17624
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 寿人 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (80783042)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腸内細菌叢解析 / 食物アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
食物アレルギー発症のメカニズムの一端を解明をするために食物アレルギー児(ケース群)と非食物アレルギー群(コントロール群)とで腸内細菌叢の解析を行う研究を計画していた。2018年度は2017年度に不足していた検体の収集に注力した。
つくば市市役所、保健センターと交渉を実施し、1歳6か月健診でコントロール群を収集するための許可を得て、収集を行った。その結果、コントロール群は当初予定の21人からの協力を得ることができた。これら21名のコントロール群は次世代シーケンサーの解析を開始した。解析過程において腸内細菌の種類の分布にコントロール群のなかでも多少のばらつきが見られた。このため、検体数の追加により、ばらつきを抑制すること、あるいはケース・コントロール群の比較対象を種類の分布ではなく、多様性評価指標であるShanon index等に絞ることを検討し、統計的な解析も開始した。
一方でケース群は筑波メディカルセンターでアレルギー専門医を受診し、診断された1歳6か月の患者検体の収集を2017年度より継続的に実施し、19人の患者検体を収集した。収集の状況として、卵アレルギーと診断された患者が10名を超えたのに対し、他の牛乳アレルギー、小麦アレルギーの患者が当初よりも少ないため、収集するための協力病院を増やすことを検討している。卵アレルギー患者群とコントロール群の比較については、来年度も収集することで、当初の予定数を超える見込みであるが、予定量よりも多く集まることでより精度の高い解析が可能と考えられるため、なるべく多くの検体を収集する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1歳6か月と年齢を固定し、年齢によってダイナミックに変化する腸内細菌叢の変動を抑制することを行った。コントロール群の検体収集が目標数に達したため、次世代シーケンサーによる腸内細菌叢解析を実施したところ、腸内細菌叢の分布に大きなばらつきが見られた。この対策としてコントロール群の検体の増加や腸内細菌叢の分布以外の差異、特に腸内細菌の具体的な種類ではなく、多様性評価の指標等へのアウトカムの変更が必要と考えられ、その検討に時間を要している。
食物アレルギー群の収集については、卵アレルギー患者は当初予定通り収集できる見込みがあるが、小麦アレルギー、牛乳アレルギーの患者収集が不十分であり、収集可能な共同研究先の追加等を検討している。
これらの理由により、当初よりもやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は当初、学会発表と論文化に当てる予定であったが、検体収集が不十分と判断しており、コントロール群およびケース群、両方の検体収集を継続的に実施し、年度後半で解析および学会発表等を行う方策としている。
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Causes of Carryover |
当初の予定では2018年度までに検体収集を終了し、コントロール群、ケース群ともに次世代シーケンサーによる腸内細菌叢解析を終了する予定であったが、コントロール群の収集のMIが完了し、その時点で次世代シーケンサーによる腸内細菌叢解析を1度実施するのみにとどまってしまった。当初やる予定であったケース群の腸内細菌叢解析を2019年度に実施し、繰り越し予算を充てる予定である。
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