2017 Fiscal Year Research-status Report
メタトランスクリプトーム的手法による重要ウリ科作物の植物微生物相互作用の研究
Project/Area Number |
17K17626
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
矢野 亮一 筑波大学, 生命環境系, 助教 (00443044)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | トランスクリプトーム / マイクロバイオーム / メタゲノム / マスクメロン / ウリ科作物 / ハウス栽培 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではマスクメロン(品種名:アールスフェボリット春系3号)を実験対象として、RNA-seq情報に混在する微生物由来リードを分析し、メロン植物体トランスクリプトームと微生物群の相互作用をバイオインフォマティクスの視点から解析することを目的としている。平成29年度は、取得済のRNA-seq情報に加え、新規データを収集することに主眼を置いた。栽培を2017年春季から夏季にかけて筑波大学内の水耕栽培ビニールハウス温室にて実施し、それまでに未取得であった植物体組織あるいは発達タイミングでサンプリングを行ってそれぞれ次世代シークエンサー(next-generation sequencer, NGS)によるRNA-seq解読を実施した(いずれもHiseqペアエンド解析による)。微生物由来NGSリードの存在を大まかに知るために、bacteria 16S rDNA sequence database、fungi ITS sequence database等をリファレンスとして、これらの微生物核酸配列に完全一致するNGSリードを各サンプルで分析した。その結果、各サンプルの全リード本数(6.49~40.6 million read)のうち、0.005~1.54%が完全一致を示した。今回、解析したサンプルは根から葉、茎、果実、発芽種子、実生に至るメロンのほぼすべての組織を網羅していたが、組織による微生物由来リード本数の違いは認められなかった。本研究ではその他に、QIIMEによる菌叢解析を試行し、微生物群プロファイルに基づく情報解析を行った。また、温室栽培メロンの発現遺伝子情報等を公開するためのデータベースを構築し、発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度のサンプリングで、ほぼ全てのメロン植物体組織のRNA-seq情報を網羅した。一方、平成29年度の栽培では農薬散布を徹底したため、病害の発生が肉眼ではほぼ認められなかった。したがって、取得したRNA-seq情報では、当初の研究目的の1つである病害菌(うどんこ等)と植物体トランスクリプトームの関連解析が難しい可能性も考えられる。このため、栽培方法やサンプリング方法を次年度の課題とする。
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Strategy for Future Research Activity |
アールスフェボリット系メロンは特に栽培が難しく、綿密な水分調整と農薬散布が要求される。平成29年度は植物体の管理を徹底したため病害が発生しにくい良好な状態であったが、逆に、本研究の目的である病害菌が発生した状態(あるいはしかけた状態)での情報収集が困難であった可能性もある。このため、平成30年度はハウス外あるいは無薬散区での栽培試験を設定して、RNA-seq情報を取得する。また、同じうどんこ病でも春期と秋期では原因が異なる可能性もあり、このような点にも注目してサンプリングを実施する。菌叢情報解析については、QIIMEの他に公表されている手法あるいは独自の方法を検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額(B-A)は610円が生じたのは、予定していたよりも支出を抑えられたためである。来年度の物品購入に使用する計画である。
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Research Products
(3 results)