2017 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism of virulence induction under iron-restricted conditions in uropathogenic Escherichia coli
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17K17631
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
平川 秀忠 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (80431758)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | バイオフィルム / 病原性 / 環境応答 / 運動性 / 発現制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、尿路病原性大腸菌(UPEC)の鉄イオン飢餓と病原性発現の分子メカニズムを解明することを目的としている。本研究を通して、尿路感染時におけるUPECの病原性誘導と新たな病原性因子を同定することで、本菌による感染症発症のメカニズムおよび、新たな標的剤の設計・開発などに向けた応用研究への足掛かりとなる分子基盤の作製に繋げたい。 本研究1年目では、私たちが以前に発見した鉄応答性の病原性抑制因子FurとRyhBに着目し、鉄イオン飢餓時におけるUPECの膀胱上皮細胞侵入並びに、マイクロコロニー形成誘導メカニズムの解析を行った。これまでに私たちは、鉄イオン飢餓時においてFurとRyhBを介したI型線毛の発現が脱抑制されることを見出しているが、加えてもう一つの主要な線毛であるP線毛および、鞭毛構成因子であるフラジェリン蛋白質の発現も脱抑制されることを新たに発見した。P線毛とフラジェリン産生遺伝子欠損株では、UPECの膀胱上皮細胞侵入並びに、マイクロコロニー形成が顕著に低下したことからこれらは、UPECの病原性に重要な因子であることも証明した。次年度は、制御様式などより詳細な制御メカニズムの解析を行う必要があると共に、膀胱感染後に起こりうる腎臓上皮細胞に対する感染への影響についても検討を行う予定である。 さらに、本実験の過程で、UPECにとっての新たな病原性因子と考えられる蛋白質(TolBと命名)を発見した。これらは、元々コリシン取り込みや外膜蛋白質の保全に寄与していることが知られていたが、今回欠損株等を用いた実験によって、新たに鞭毛の構成並びに、病原性にも関与していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、計画通りFurとRyhBによって制御される因子を調べ、その結果これまでに明らかにしていたI型線毛に加えて、新たに鞭毛とP線毛を発見することに至った。さらに、当初想定していなかった、新たな病原性因子TolBを発見し、運動性との関係についても明らかにすることができ、総合的に進捗状況として(1)当初の計画以上に進展していると評価するに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、FurとRyhBを含め今回新たに発見したTolBについて制御様式などより詳細な制御メカニズムの解析を行う予定である。並行して、膀胱感染後に起こりうる腎臓上皮細胞に対する感染への影響についても検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
初年度は想定以上の進捗で物品購入費が当初の見込み額より若干多くなったものの、旅費は見込み額より少なかったため、14995円を持ちこす状況となった。次年度は、その額を含めた形で予定通り支出を行う見込みである。
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