2017 Fiscal Year Research-status Report
昆虫の筋骨格系を規範とした高性能な柔軟羽ばたき機構の研究
Project/Area Number |
17K17638
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中田 敏是 千葉大学, 大学院工学研究院, 特任助教 (80793190)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 流体構造連成 / 羽ばたき翼 / 筋骨格 / 機械的フィードバック / ドローン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,生物の柔軟な羽ばたき機構による推進メカニズムの解明のために,柔軟羽ばたき機構の実験・数値・理論モデルの構築と,そのモデルを用いた性能評価を行った. (A)各モデルの構築:詳細な性能評価および最適化のための理論モデル・数値モデルの構築を完了した.複数のバネを用いて,高精度に運動を実現可能な実験モデルの構築を完了した.理論・数値モデルによって受動的に得られる翼運動は,実験モデルによって得られる翼運動と非常によく一致することから,理論・数値モデルの妥当性を確認することができた. (B,C)柔軟羽ばたき機構の効率,翼運動の最適性:理論モデルを用いた消費パワー最小化の結果,機構への入力の振幅が小さい場合には,羽ばたき翼による垂直力を維持するために,機構がより柔軟になり,共振に近い状態で振動することが明らかとなった.理論モデルによる計算と,数値計算によって,共振に近い場合,より小さなパワーで羽ばたき運動を達成できることが確認でき,柔軟羽ばたき機構による高効率化が確認できた. (D)柔軟羽ばたき機構のロバスト性:数値モデルを用いて,柔軟羽ばたき機構の突風応答を調べた結果,機構がより硬い場合に,突風の影響を低減することができることが明らかとなった.これらのことから,効率と外乱応答が,トレードオフの関係になることがあきらかとなった.機構の柔軟性による外乱への翼運動の変化による応答は,神経系を用いた能動的なフィードバックに対して,機械的フィードバックと呼ばれ,受動的であり,高速である.翼や胴体等の柔軟性でも同様の効果が期待でき,今後の研究計画では翼の柔軟性等も考慮した実験を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論・数値モデルの構築を完了し,新たに構築した実験モデルによって,理論・数値モデルの妥当性を検証することができた. 各モデルを用いた性能評価の結果,機構の柔軟性を適切にデザインすることによって,柔軟羽ばたき機構による機械的フィードバックによる効率や外乱応答の向上や,性能のトレードオフを確認することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた結果に基づいて,今後は,筋骨格系と翼の柔軟性の組み合わせによる機械的フィードバックによる効率と外乱応答の同時向上を目指す.筋骨格系と翼の柔軟性を考慮した数値シミュレーションは複雑で,困難であることから,主に実験モデルを用いて,実験を行う予定である. また,羽ばたきロボットの高性能化を目指して,柔軟羽ばたき機構を小型化し,羽ばたきロボットへの実装のためのプロトタイプを作製する.
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