2017 Fiscal Year Research-status Report
A microfluidic approach for large-scale single-exosome analysis
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17K17645
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
Kim SooHyeon 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (80709189)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エキソソーム解析 / 単一細胞解析 / 誘電泳動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、2種類のインデックス配列の組み合わせによりエキソソームを標識することが可能なMicrofluidic Combinatorial Indexing (MCI)法を確立し、各エキソソームを識別することで単一エキソソームの解析を可能にする「超並列1エキソソーム解析法」の確立を目的とする。具体的には、単一エキソソームと、インデックス配列を含むアガロースビーズの組み合わせを単一粒子レベルで区画化することで、各エキソソームの標識と解析を実現する。 平成29年度では、高効率で単一粒子の組み合わせを可能にするAddressable Electroactive Microwell Array (AEMA)の開発を行った。Electroactive Microwell Array(EMA)はマイクロウェルの底面部分に電極を配置することで、単一細胞を誘電泳動によって効率よくトラップし、解析が可能な技術である。このEMAに基づいて、各マイクロウェルの誘電泳動電極を個別に制御可能なAEMAを開発し、単一粒子を指定のマイクロウェルへ順番にトラップすることで、選択的に単一粒子の組み合わせを作ることが可能なマイクロ流体デバイスを開発した。試作したデバイスを用いた検証実験では、青、緑、赤色の蛍光色素で染め分けたPC 3(前立腺癌腫瘍細胞株)細胞群を、1つのマイクロウェルにそれぞれ1細胞ずつトラップすることに成功した。各々の細胞群をマイクロ流体デバイスへ流入させ、指定の電極へ電圧を印可し、指定のマイクロウェルにトラップすることで、確実性の高い単一細胞組み合わせ方法を実現した。 本成果はマイクロ流体分野で注目を集め、MicroTAS2017でoral presentationとして採択され発表を行った。また、日本の化学とマイクロ・ナノシステム学会(CHEMINAS36)で優秀研究賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各マイクロウェルのsingle cell occupancy ratioは90%以上と高い効率が得られたが、組み合わせの効率は38%と高くなかった。その理由として、細胞を流入する際に、マイクロ流体デバイス内の水流が不安定になり、トラップされていた細胞が流出してしまうことが考えられる。例えば、すでに指定のマイクロウェルにトラップされた緑PC3細胞が流出してしまうことで同じマイクロウェルへ赤PC3細胞、または青PC3細胞がトラップされる確率が上がるため、違う種類の単一細胞の組み合わせができなくなってしまう。この問題を解決するためには、一度細胞がトラップされた時に流が不安定になったとしても、先にトラップされていた細胞が流出しないような、安定的な細胞トラップが必要となる。安定的な細胞トラップのためEMAの改良が必要であるため、アガロースビーズの作成やトラップの検討が少し遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度試作したAEMAをさらに改良し、MCI法の基礎検討を行うとともに、単一1エキソソーム解析を行う。今年度試作したAEMAを用いた検証実験では、各TWのsingle cell occupancy ratioは高いが、3色の組み合わせ効率は高くなかった。この問題を解決するため、一度トラップされたマイクロビーズが流出しない、安定的なマイクロビーズトラップと区画化を実現するAEMAを開発する。まず、CMOSチップ製作技術を用いて、EMA底面の電極を個別に制御できる AEMAを制作し、マイクロウェルにアガロースビーズを捕捉するためのマイクロ構造物を配置することで、安定的にアガロースビーズをトラップする。制作したAEMAを用いてエキソソーム捕捉ビーズのトラッピング条件(印加電圧、周波数、バッファー)の最適化を行う。また、マイクロウェルの区画化を簡略化するため、EMAを油性液体で封入する方法を開発する。具体的には、疎水性材料を用いてマイクロウェルを作製し、水とオイルを順番に入れることによって自動的に微小液滴を形成させ、AEMAを封入する方法を確立する。
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Causes of Carryover |
試作したAMEAを用いた組み合わせの効率は予定より低く(38%)、アガロースビーズの組み合わせによる単一エキソソームの標識と解析が遅れた。そのため、解析用の試薬などの購入が遅れ次年度使用額が生じた。次年度にAMEAの改良を行い、単一エキソソーム解析用の試薬の購入に使用する予定である。
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