2017 Fiscal Year Research-status Report
短期国際研修の長期的教育効果の解明とその教育的応用
Project/Area Number |
17K17647
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
櫻井 勇介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任講師 (60771219)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 国際教育 / 教育評価 / 縦断的調査 / 混合研究法 / 教育工学 / 留学 / 教育開発 / 教育の質保証 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、人間の異文化間の移動と交流が進み、国際化社会に貢献し地球規模の様々な課題解決に立ち向かう人材の育成が国内外で求められている。特に大学はその要請に応える人材育成を念頭に、様々な国際学習の機会を提供し、その一つとして2~4週間程度の短期国際研修が注目されている。本研究はその短期国際研修履修生の長期的に有意義な経験の要素とその持続・発展過程および学業との連関の様子の2つを明らかにするものである。そのために、履修生に対する参与観察、彼らの学業経験の語りと質問紙による量的データを縦断的に収集している。 夏季・冬期休暇中に開講される複数の短期国際研修に同行し、それらの研修授業を履修した学生のうち28名から聞き取りデータを収集した。そのうち18名からは履修後一年経過時の聞き取りデータを既に収集している。定量的データとして実施しているアンケートも同様に実施している。 本研究に関連して、国内と香港でそれぞれ1件の研究発表を行い、本学他学部で実施された国外研究者を招いた国際セミナーでも情報共有の発表を行っている。国際学会誌に内容が関連する論文も出版している。 研究はまだ継続するが、これまでに得られた知見を活かして学内での国際研修授業の運営と開発業務を進めている。また、一連の実践と研究成果をもとに、履修生の学習成果の明確化のための質問紙の開発も並行して進めており、研究を進めることでさらなる改善につながると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は次のような計画をしていた。(1)本学国際研修担当教員から履修生へ研究協力を呼びかけるための打診と協力の依頼(2)履修生への聞き取り調査の実施(3)履修生の学習状況を測定する質問紙調査の実施(4)帰国1年後の学習状況の聞き取り調査の実施、である。 これら全てを実施しほぼ十分な情報が得られているが、帰国一年後の学習状況の聞き取り調査が18名の実施であり、あと数名の履修生への実施を想定しているため、引き続き、聞き取り調査を30年度4月中に実施計画中である。ただし、30年度のデータ収集の可能性は、当初の計画書でも想定していたため、進捗状況の遅れとは認めにくい。 研究成果は学内の国際セミナー、国内外の学会発表、関連論文の国際誌への出版を通して公開している。セミナーやワークショップでの成果の公開を通して研究成果の信頼性と妥当性を高めるという3年目に計画していた活動も、類似の研究関心を持つ研究者のグループを形成し既に着手している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の計画は以下のとおりである。(1)帰国一年後の履修生からの聞き取り調査を完了させる(2)国際研修終了直後と一年後の学生の「研修での学習成果」と「日々の学びへの関与」についての聞き取りデータを横断的に比較検証しその特徴を明らかにする(3)質問紙調査の数値変動を整理し特徴を明らかにする。 また既に2つの国際学会での研究成果発表が受理されており、そこで情報共有をし、他研究者からのフィードバックが得られることを期待している。また現在投稿中の論文もあり、査読の結果を待っている。仮に掲載に至らなければ、査読者からのフィードバックを生かして他誌に投稿する計画である。
|
Research Products
(6 results)