2019 Fiscal Year Research-status Report
工学研究を軸とした初等中等教育における横断教科型STEM教育コンテンツ開発と実践
Project/Area Number |
17K17655
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川越 至桜 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (20598289)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | STEAM教育 / STEM教育 / 横断教科型 / 教育コンテンツ / アクティブ・ラーニング / ICT教育 / デジタル教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
Society5.0が提唱され、SDGsの達成に向けてグローバル規模で産業構造が変化している現在、イノベーションを創出することのできる次世代の人材育成は喫緊の課題である。また、2020年より順次導入されている新学習指導要領では、アクティブ・ラーニング(主体的な学修)や理数探究などが導入される。これらのニーズに対応する教育コンテンツの開発と、そのための環境整備は必要不可欠である。 本研究では、工学を軸として大学で行われている最先端研究を、STEM(Science, Technology, Engineering, and Mathematics)にArtsを加えたSTEAM教育コンテンツとして開発し、普及を行った。そして、効果的なSTEAM教育が実施できる連携体制を構築しSTEAM教育として体系化を試みた。 まず、「最先端工学研究と初等中等教育の教科・科目との対応」を示し「科学技術の社会的意義や役割」が理解しやすい横断教科型のSTEAM教育コンテンツとして、デジタル教材・シミュレーション教材を開発した。教材は探究型学習やアクティブ・ラーニング、ICT教育を見据え、タブレットやスマートフォンでも利用可能であり、大規模な工学実験等も映像として教材に加え、実感を伴った教育コンテンツとした。シミュレーション教材は現在はパソコン専用となっているが、他のICT機器でも使いやすいものを開発予定である。開発した教材に加え、学習用テキストや利用マニュアルも開発した。これらを中高生に実際に使用してもらい、効果測定のためのアンケート調査を行い、データ分析を進めている。 また、これまでの初等中等教育機関との連携強化、および新規連携を構築するため、メールやWebによる情報発信を行った。そして、現状を整理し、課題を分析することで、STEAM教育を実施していくための連携システムを強化・発展させた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、高大接続を充実化し、工学を軸として大学で行われている研究を、初等中等教育向けのSTEAM教育コンテンツとして研究開発および普及を行うとともに、効果的な活動が実施できる連携体制構築、およびSTEAM教育を体系化することを目的としている。 本研究において、最先端研究と初等中等教育課程の教科・科目との関連を示し、かつ、科学技術の社会的な意義や役割が理解しやすい横断教科型のSTEAM教育コンテンツとしてデジタル教材に加え、シミュレーション教材の開発も行った。これらの教材は探究型学習やアクティブ・ラーニング、ICT教育を見据え、タブレットやスマートフォンでも利用可能なものとなっている。加えて、研究機関でしか実験できないような大規模な工学実験などを教材に盛り込み、より実感を伴った教育コンテンツとすることができた。更に、テキストや利用マニュアルも合わせて制作することができた。更に、これまでの初等中等教育機関との連携を発展させて、横断教科型のSTEAM教育を強化していくための新たな連携を構築することができた。 当初の計画ではSTEM教育コンテンツ開発としていたが、近年、世界的にも注目・推進されているArtsの要素も盛り込むことができ、STEAM 教育コンテンツとして開発することができた。また、デジタル教育のみならずシミュレーション教材も開発し、すでに初等中等教育現場で使ってもらい、アンケート調査を行っている。これらの国内での調査において初等中等教育関係者と意見交換を行うとともに、海外大学のSTEAM教育研究者に映像教材を見てもらい、情報交換を行っており、今後の課題を抽出するのみならず、課題解決に向けてすでに開発を進めている。従って、当初の計画以上に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究にて研究開発をした教育コンテンツやデジタル教材、シミュレーション教材については、引き続き、初等中等教育機関へ貸し出しやWEB配信を実施する。そして、利用者に対してアンケート調査を継続実施し、データ分析を行う。これらの調査結果を考慮し、初等中等教育現場で活用可能な教育コンテンツとして改善・改訂し、普及させていく。また、グローバル社会を見据えて、英語化を検討する。更に、効果的なSTEAM教育が実施できる連携体制を強化し、伸展させていく。そして、STEAM教育活動を体系化することで、我が国におけるSTEAM教育の実践方法を明らかにし、実践研究を発展させていく。具体的には以下となる。 1. 教育コンテンツの活用および普及:本研究により開発したSTEAM教育コンテンツを、初等中等教育機関へ貸し出し、WEB配信を継続する。また、利用者に対してアンケート調査を継続実施し、利用実績や利用時の課題を分析することで、効果的に使用するために必要な点を整理、課題を抽出し、さらなる改善を図る。そして、STEAM教育実践を体系化し、STEAM教育実践研究を発展させていく。 2. 教育コンテンツの英語化の検討:海外のSTEAM教育コンテンツを調査し、本研究にて研究開発した教育コンテンツの英語化を検討する。 3. 連携システムの強化と伸展:これまでに構築した連携システムに外部機関や海外大学等の新たな機関を加えることで強化し、初等中等教育機関との新たな連携を進めていく。
|
Causes of Carryover |
教育コンテンツ開発費用が当初見積額よりも費用がかからず、それに伴う人件費・謝金費用がかからなかったため次年度使用額が生じた。また、本研究では、開発したSTEM・STEAM教育コンテンツを広く国内外に発信することも目的としている。そこで、本研究成果を海外に向けて広く発信するとともに、国際的な研究者と議論することを目的として、2020年7月にイスタンブール(トルコ)で開催される2nd International STEM Education Conferenceに参加、発表するため、補助事業期間の延長を申請した。
|
Research Products
(7 results)