2020 Fiscal Year Research-status Report
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17K17659
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
入江 薫 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 講師 (20789169)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 経済統計 / ベイズ統計学 / 時系列分析 / 状態空間モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
計数時系列データの逐次分析については、モデリングや計算手法の核となる研究はすでに完了している。当該年度に行ったのは主に追加的な分析であり、提案する統計分析手法の様々な基準による評価や他の手法との比較を目的として、ウェブサイトへのアクセスログのデータを再度分析した。また、結果の解釈を反映させる形で論文を大幅に加筆、修正した。 上記の研究から派生した研究のうち、計数値に限らない時系列データ一般に対する動的な縮小効果の研究については、改訂要求に答える形で多くの追加研究を行った。具体的には、当初lasso型のモデルに限って分析していたところを、lassoによる縮小効果は必ずしも望ましいものではないという指摘を受け、horseshoe型を含むより広いクラスの動的な縮小事前分布を考察の対象とした。すでに明らかにした統計的な性質は、この拡張された事前分布でも成り立つことを確かめた。また、シミュレーション実験を通じて、この拡張された事前分布による推定・予測精度の向上を確認した。以上の結果を反映し、かつ詳細な補遺を付けて論文を書き直した。 また計数値であるが時系列ではない大規模データに関する分析について,望ましい性質を持つ事前分布を考案する研究を行った.ここでいう望ましさとは,非ゼロの大きな値を観測した際にはそれを縮小せずに推定値として用いること,いわゆる裾ロバスト性を意味する。さらに、統計分析を短時間で完了することができるように、計算を簡易にする共役性を持っていることも必須の要件と定めた。これらの性質を持つ新たな確率分布を特定し、その数学的性質を明らかにした。 年度末の段階では、論文を査読付き学術誌に投稿し、改訂要求に応じたのち再投稿をしているか、さらなる改訂要求を受けてその対策を検討している状況にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究打ち合わせの中止や査読の遅れなど、外生的な要因による研究の停滞はあったものの、逐次新たな研究プロジェクトに着手することで研究活動自体は継続しており、当初の計画とは異なるものの十分な進展があったと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
大幅な査読の遅れにより、現在も改訂要求にもとづく追加の分析を行っている。期間延長の一年にあたる次年度では、論文の受理を目標として上記三つのプロジェクトに区切りをつける。
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Causes of Carryover |
パンデミックによる移動・集会の制限により、国内外の共同研究者との対面での研究打ち合わせがすべて中止になった。同様の理由で、国内外の学会への参加も中止、またはオンラインでの開催となった。これらを使途として旅費に多くの予算を割いていたため、年度内の予算の使用が著しく困難となった。 次年度も移動・集会の制限は続くと考えられる。そのため、旅費を中心とした当初の予算計画を断念する。代わりに、リサーチアシスタントの雇用、研究発表への謝金などを念頭に人件費を中心にして予算を使用する。また、ウェブ上での研究打ち合わせや研究発表が増えていることから、機器購入を念頭に物品費にも予算を確保する。
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Research Products
(3 results)