2019 Fiscal Year Annual Research Report
Ethical considerations for patients' access to investigational medical products
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17K17665
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
中田 はる佳 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 研究員 (10592248)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 臨床試験 / 治験 / 患者申出療養制度 / 拡大治験 / 未承認薬 / コンパッショネートユース / 研究倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は患者団体のウェブサイト調査と制度の比較研究を行い、成果をまとめた。 1. 患者団体のウェブサイト調査:がんや難病・希少疾患領域など49の患者団体のウェブサイトにおいて、臨床試験・治験、患者申出療養制度、拡大治験の情報提供の状況を調査した。調査設計にあたって、米国共同研究者らが行った先行調査(doi:10.1186/s13104-019-4745-7)と比較可能性の高い調査項目を設定した。日本の患者団体のウェブサイトで最も多く情報があったのは、患者団体独自の臨床試験検索ツール又は臨床試験のリストであった。未承認薬利用の第一選択肢は臨床試験だが、公的な臨床試験データベースは9割以上の患者団体で掲載されていなかった。臨床試験以外の未承認薬利用制度(患者申出療養制度、拡大治験)に関する情報は2つの患者団体で触れられているのみであった。厚生労働省の患者申出療養制度に関する一般向けウェブサイトのリンクを掲載していた患者団体はなかった。がん遺伝子パネル検査の保険適用開始後、適応外使用薬が治療選択肢となった場合の受け皿として患者申出療養制度が利用されているが、制度の内容は患者・市民に十分浸透していない可能性が示唆された。今後、患者団体と協働で未承認薬利用制度を周知することや、患者申出療養制度の実例を一般向けに公表することが有益と考えられた。 2. 臨床試験・治験以外の未承認薬利用制度の日米比較:米国共同研究者らと意見交換を継続し、日米の未承認薬利用制度を比較した。保険制度の違いはあるものの、主な米国と日本の相違点として1)患者の治療的側面が強い―保険収載を見据えるなど研究的側面が強い、2)患者個人の使用が中心―患者集団の使用が前提、などが挙げられた。共通の課題として、未承認薬利用可否の最終判断が製薬企業であり、制度の不安定さが挙げられた。共同研究の結果は論文投稿準備中である。
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