2017 Fiscal Year Research-status Report
piRNA末端形成における2つのヌクレアーゼの使い分けの解析
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17K17673
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
泉 奈津子 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (50579274)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | piRNA / ヌクレアーゼ / トリミング |
Outline of Annual Research Achievements |
2つのヌクレアーゼTrimmer、Nbrの基質となるpiRNA前駆体の違いを明らかにするため、本年度は、まずTrimmerおよびNbrのノックダウン細胞からsmall RNAライブラリを作製し、両者の相違を解析した。既に報告しているように、TrimmerノックダウンではpiRNA全体のわずかな伸長がみられたが、Nbrノックダウンでは、全piRNAを対象とした場合、piRNAの伸長は極めてわずかにしか認められなかった。一方、一部のpiRNAにおいて、NbrノックダウンでpiRNA前駆体と思われる長いpiRNAの蓄積が認められた。しかし、前駆体の蓄積と相関した成熟型piRNAの減少は認められず、長いpiRNAの蓄積が、Nbrによるトリミングが阻害されたことに起因するのか疑問が生じた。 上記結果を確認するため、さらにTrimmerおよびNbrノックアウト細胞の樹立し、これらを用いて同様なsmall RNAライブラリを作製し、piRNAの性状を解析した。Trimmerノックアウト細胞では、Trimmerノックダウンと同様な表現型がみられたが、Nbrノックアウト細胞では、ノックダウンでみられた全piRNAのごくわずかな伸長は検出できなかった。さらに、トリミング活性を評価するin vitro実験においても、Nbrノックアウト細胞のライセートは野生型細胞のライセートと同等のトリミング活性を示したことから、カイコにおいては、NbrはpiRNA末端形成に寄与していないと判断した。一方で、一部のpiRNAにおける前駆体様の長いpiRNAの蓄積は、Nbrノックアウト細胞において観察された。これらのことから、一部のpiRNAにおいて、NbrはpiRNA前駆体の末端トリミングとは異なる過程に関与しており、その阻害は前駆体様の長いpiRNAの蓄積を引き起こすと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画自体は予定どおりに進行したが、当初の予想とは異なる結果が得られ、研究計画の見直す必要が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
Nbrノックアウト細胞を用いた解析から、カイコNbrはpiRNA末端トリミングに寄与しないことが示唆されたため、当初の計画を変更し、今後は本年度の解析で樹立したTrimmerノックアウト細胞を用いた解析を行う。Trimmerノックアウト細胞では、トリミング前のpiRNA前駆体が蓄積することが予想される。piRNA前駆体は、エンドヌクレアーゼZucchiniにより産生されると考えられているが、Zucchiniの作用機序については不明な点が多い。Trimmerノックアウト細胞は、piRNA前駆体の性状やZucchiniの作用機序を解析する上で有用なツールになる可能性が高いことから、今後は、Trimmerノックアウト細胞を用いたpiRNA前駆体の形成機構について解析を行う。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画での予想と異なる結果が得られ、本来進めるべき実験の見直しを行ったため、次年度使用額が生じた。 これらは、次年度新たに進める実験計画、Trimmerノックアウト細胞を用いたpiRNA前駆体の形成機構の解析に用いる。具体的には、(1) Trimmerノックアウト細胞を用いたin vitroアッセイに必要な実験試薬および核酸合成費 (2) 抗体作製費 (3) 次世代シーケンサーを用いたZucchiniノックダウンによるpiRNAへの影響の解析に関わる費用に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Transcriptome profiling reveals infection strategy of an insect maculavirus.2018
Author(s)
Katsuma S, Kawamoto M, Shoji K, Aizawa T, Kiuchi T, Izumi N, Ogawa M, Mashiko T, Kawasaki H, Sugano S, Tomari Y, Suzuki Y, Iwanaga M.
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Journal Title
DNA Res.
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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