2017 Fiscal Year Research-status Report
乳児の健康な皮膚バリア機能発達と皮膚常在菌叢形成に対するスキンケアの効果検討
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17K17676
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米澤 かおり 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (20791388)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 新生児・乳児のスキンケア / 皮膚常在菌 / 皮膚バリア機能 / 沐浴 / 保湿 |
Outline of Annual Research Achievements |
新生児・乳児のスキンケアによる短期的な皮膚バリア機能の影響、皮膚常在菌の定着に関連する要因の検討を行う。特に、皮脂の分泌の多い顔(額・頬)と、スキンケアを行う頻度が高いと考えられる腕を対象部位とする。 新生児が行う沐浴の皮膚バリア機能への影響を検討するため、沐浴前・沐浴30分後、沐浴90分後の皮膚バリア機能(経皮水分蒸散量、角質層水分量、皮膚pH、皮脂量)の変化を検討した。妊娠期・産褥期に応募のあった58名中、56名について生後2週間時点で調査を行うことが出来た。 現在、額・頬の皮膚バリア機能に関して分析を進めており、その結果、沐浴30分後は最も角質層水分量、皮脂量が少ない傾向にあること、沐浴90分後には沐浴前とほぼ同レベルまで回復する児と、少ないままでバリア機能の回復の遅い児がいることが明らかになった。また、沐浴前と90分後の変化量(回復の程度)がその後4週間の皮膚トラブルと関連することが明らかになった。 沐浴の方法についても、洗浄剤の種類や保湿の有無だけではなく、洗う手順やすすぎの方法等に様々な方法が行われていることが明らかになった。今後、沐浴の方法と皮膚バリア機能の関連を検討していく予定である。 次に、生後3-4か月の乳児を対象に、左右に腕それぞれに無作為に割り付けた2種のスキンケア(お湯のみ、または洗浄剤を用いた洗い方の違い;洗浄剤を用いて洗うのみ、または洗った後に保湿剤を塗布)を行い、皮膚バリア機能・皮膚常在菌叢の違いを検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はプレテストを実施、来年度から調査開始予定であったが、順調に準備が進んだため、生後2週間の調査を56名に対して実施まで終えることが出来た。現在、同じ児を対象とした生後3-4か月調査を行っており、2018年度前半には調査を終了できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
生後3-4か月の乳児を対象に、2種のスキンケアの違い(お湯のみ、または洗浄剤を用いた洗い方の違い;洗浄剤を用いて洗うのみ、または洗った後に保湿剤を塗布)による、皮膚バリア機能・皮膚常在菌叢の変化を検討する。現在調査を進めており、2018年度中に分析を進める予定である。 さらに、同じ児を対象としているため、長期的な皮膚バリア機能の変化や皮膚常在菌叢の関連を検討することができる。さらに、生後3-4か月時点での皮膚常在菌叢を皮膚常在菌の定着した状態と考え、生後2週間時点の皮膚バリア機能の変化や、これまでの期間の日々のスキンケアを含め、皮膚常在菌叢に関連する要因の検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
学会参加旅費について大学の女性スキルアップ支援事業の支援を受けることができた他、大学近隣で調査を行うことが出来たため、旅費の支出が少なかった。 その一方で、生後3か月の調査について、予定よりも多くの協力が得られる見込みがあり、次年度使用額を皮膚常在菌叢の分析費用にあてることで、より多くのデータの分析が可能になる。また、次年度は論文執筆・投稿予定である。そのため、皮膚常在菌叢の分析、論文執筆時の英文校正、投稿費用が必要となる。
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