2019 Fiscal Year Research-status Report
乳児の健康な皮膚バリア機能発達と皮膚常在菌叢形成に対するスキンケアの効果検討
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17K17676
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米澤 かおり 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (20791388)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 新生児 / 皮膚バリア機能 / 皮膚トラブル / 皮膚常在菌 / 沐浴 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017~2018年度に調査を終了し、2019年度は分析・論文執筆を行った。 <沐浴による皮膚バリア機能への影響>生後2週間の新生児56名を対象とした解析では、生後2週間時点の沐浴前後で 皮脂変化量が小さい(減った後戻る)ほど、より皮膚トラブルを発症しにくく、一方で、沐浴前と沐浴 90 分後の皮膚 pH 変化量が大きい(上がった後戻らない)ほど皮膚トラブルを発症しにくいことが明らかになった。以上より、皮膚バリア機能の回復力が高く、皮膚バリア機能が低下している時間が短いことがトラブル予防に資する可能性がある。 また、そもそも洗顔方法の違いによって、沐浴前後の皮膚バリア機能の変化に違いがあるのかを検討した結果、石鹸を使用することで、お湯のみで洗顔する場合と比べて皮膚pHの変化量が大きくなることが明らかになった。洗い方による皮膚バリア機能の変化について、検討を続ける必要がある。
<皮膚常在菌の関連要因> 生後2週間の新生児の、皮膚常在菌について、経腟分娩で出生し、自宅で沐浴時に洗浄剤またはお湯のみで洗顔をし、入院中の沐浴の状況が判明した 35 名を対象とした解析を行った。その結果、入院中に毎日沐浴した群の方が、ドライテクニックの群と比べて有意に Staphylococcus の比率が高く、Streptcoccus の比率が低かった。早期母子接触、保湿剤塗布の有無による明らかな影響は見られなかった。退院後の影響としては、母乳メインの場合、洗顔がお湯のみの場合に、そうでない場合と比べて Bacteroidetes 門が有意に少なかった。望ましい常在菌については今後も検討が必要だが、入院中の沐浴の頻度が、生後2週間経っても児の常在菌に影響を与える可能性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は一部データの解析・学会発表を行い、論文投稿中である。一年延長することで、さらに全体的な分析・論文執筆を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
生後2週間データと生後3か月データのそれぞれの分析は進んでおり、今後は縦断データである強みを生かし、皮膚トラブルを予防することが重要であるといわれる生後3か月までで、健やかな皮膚に関連する因子を検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
分析・論文投稿準備に想定以上に時間を要しており、2020年度に分析・学会発表・論文投稿を行う予定である。また、分析過程で必要に応じ、すでに採取したサンプルの追加分析を行うことを検討している。
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