2020 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of skin care on the development of healthy skin barrier function and skin microbiomes in infants
Project/Area Number |
17K17676
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米澤 かおり 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (20791388)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 新生児 / 皮膚バリア機能 / 皮膚トラブル / 皮膚常在菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は分析・論文執筆・論文投稿を行った。 <乳児の洗浄後保湿剤塗布による影響>生後3-4か月時点で、左右に腕それぞれを洗浄し、その後無作為に左右に保湿剤塗布と塗布しないことを割り付けたクロスオーバー試験を行い、洗浄直前、30分後、90分後の3時点で皮膚バリア機能を計測した。その結果、保湿剤を塗布することで90分後の角質層類分量が増え、30分後・90分後の皮脂量が多く、30分後・90分後の皮膚pHが低い(酸性より)で保湿剤を塗布した側の方が、皮膚バリア機能が良いことが明らかになった。常在菌の変化についても現在検討を進めている。
<皮膚トラブルの有無と常在菌の関連>生後2週時点での皮膚常在菌と皮膚バリア機能が、その後4週間(生後2週~生後6週)の皮膚トラブルと関連をしているのか、検討を行った。その結果、生後2週時点での皮膚常在菌叢の中でActinobacteria門、その中でもマイクロコッカス科の菌の比率が高いことが、その後生後6週までの皮膚トラブルがないことと有意に関連していた。その関連は、角質層水分量や皮脂量を調整した後も有意な関連を示した。これまで、皮膚トラブルの研究では皮膚バリア機能のみを要因として検討していることが多かったが、皮膚常在菌も含め、包括的に検討をしていくことの重要性が示唆された。
研究全体を通して、これまで一時点での皮膚バリア機能で評価されることが多かった新生児の皮膚の状態について、変化の大きさ(元の状態に戻るための回復力)や常在菌叢との関連についても合わせて研究をしていくことの重要性を示すことができたと考える。また、個人差が大きいことも改めて明らかになり、各個人に応じたオーダーメイドのケアの必要性も明らかになった。最終的には、新生児の「健やかな皮膚の発達」を支援するために、望ましいケアを示すことができるような研究が今後も必要である。
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