2017 Fiscal Year Research-status Report
腸管免疫誘導組織内共生細菌による、腸管恒常性維持機構およびクローン病との関連
Project/Area Number |
17K17686
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
柴田 納央子 千葉大学, 大学院医学研究院, 日本学術振興会特別研究員(PD) (60794542)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 粘膜免疫 / 共生細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、パイエル板内部に最優勢で共生する、Alcaligenes菌に着目し、Alcaligenes菌による免疫制御機構や共生の生理学的意義、また、クローン病の病型間での比較により、Alcaligenes菌のクローン病との関連を明らかにする。 当該年度中に申請者は、樹状細胞を起点とした、Alcaligenes菌によるT細胞・B細胞の分化、機能制御機構や腸炎防御機構の解明を目的として、Alcaligenes菌の生理活性分子の探索を行った。その結果、Alcaligenes菌から抽出、精製したリポ多糖の炎症活性が低く、大腸菌のリポ多糖で引き起こされる敗血症症状を、ほとんど引き起こさないことが明らかになった。一方で、Alcaligenes菌のリポ多糖は、B細胞によるIgA産生の促進や、ワクチンのアジュバントとして使用した際に、抗原特異的な免疫応答を効率的に誘導することが明らかになった。 腸管においてIgAは、病原性細菌の侵入阻害や、毒素の中和を行うことが知られており、本研究成果は、Alcaligenes菌が腸管免疫誘導組織であるパイエル板内に共生することで、IgA産生促進を介した生体防御に寄与していることを示唆している。 本研究結果の一部は、当該年度中にMucosl Immunology誌にアクセプトされている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組織内共生細菌であるアルカリゲネス菌の細胞壁構成成分と、IgAを始めとした宿主免疫系との相互作用に関する研究を進めた。その結果、アルカリゲネス菌の細胞壁成分であるリポ多糖が、過度な炎症を誘起しない一方で、宿主の腸管恒常性維持に寄与する、IgAの産生を促進することが明らかとなった。 本研究内容の一部は、当該年度中にMucosal Immunology誌にアクセプトされている。 以上の研究成果を勘案し、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
Alcaligenes菌のクローン病発症や増悪化への影響を解明する目的で、クローン病の小腸型、小腸大腸型、大腸型の各病型に着目し、糞便検体、血清検体、組織検体を用いた分子生物学的、また組織学的な解析をすすめる。 また、Alcaligenes菌を無菌マウスに単一で定着させたマウスを用いて、腸管免疫系や、炎症性腸疾患との関連を解析する。
|
Causes of Carryover |
当該年度中に出産および、出産に伴う産休を取得したため、研究実施計画に一部変更が生じた。これにともない、当該助成金に次年度使用額が生じた。 翌年度以降は、変更された研究実施計画に従い、産休中に予定していた研究内容も含めた研究を進めていく。
|
-
[Journal Article] Lymphoid-tissue resident Alcaligenes LPS induces IgA production without excessive inflammatory responses via TLR4 agonist activity.2017
Author(s)
Naoko Shibata, Jun Kunisawa, Koji Hosomi, Yukari Fujimoto, Keisuke Mizote, Naohiro Kitayama, Atsushi Shimoyama, Hitomi Mimuro, Shintaro Sato, Natsuko Kishishita, Ken J Ishii, Koichi Fukase, and Hiroshi Kiyono.
-
Journal Title
Mucosal Immunology
Volume: 103
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-