2018 Fiscal Year Research-status Report
Maintenance of Intestinal Homeostasis by Symbiotic Bacteria Residing in Intestinal Immune-inducing Tissues and Its Association with Crohn's Disease
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17K17686
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柴田 納央子 早稲田大学, 理工学術院, 日本学術振興会特別研究員 (60794542)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 粘膜免疫 / 日和見細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、腸管組織内共生日和見細菌であるアルカリゲネス菌の形態変化と、共生破綻機序の関連について解析を進めた。 アルカリゲネス菌を過剰増殖させると、桿状からフィラメント状へ形態変化をすることが判明した。また、フィラメント状への形態変化に伴い、アルカリゲネス菌の菌体内にシトクロムcが蓄積し、一部のシトクロムcは菌体外へ放出されることを見出した。シトクロムcは通常、細菌細胞膜や動物細胞のミトコンドリア内膜において、好気呼吸電子伝達系の電子供与体として機能しているが、ミトコンドリアからシトクロムcが細胞質へ放出されると、アポトーシス促進因子として作用することが知られている。これらの報告と一致し、アルカリゲネス菌が定常的に共生している樹状細胞に、形態変化後のアルカリゲネス菌を感染させることで、樹状細胞の細胞質におけるシトクロムcが増加し、それと連動しアポトーシスが高率に誘導されることが明らかになった。 以上の解析結果から、アルカリゲネス菌の共生破綻機序として、アルカリゲネス菌の形態変化に伴う菌体内シトクロムcの蓄積及び、シトクロムcの樹状細胞の細胞質への放出と、それに起因したアポトーシス誘導機構の存在が新たに示唆された。 またクローン病病型を判別可能な、アルカリゲネス菌由来新規クローン病病態活動度指標についても解析を進め、既に候補分子を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、組織内共生日和見細菌であるアルカリゲネス菌の細胞壁構成成分による、樹状細胞を介したIgA産生の促進について、第47回日本免疫学会学術集会において口頭発表し、ベストプレゼンテーション賞を受賞している。 また、アルカリゲネス菌の形態変化と共生破綻機序については、これまでに菌体由来シトクロムcによるアポトーシス誘導が報告された例はなく、腸管組織内共生日和見細菌由来分子による、新規アポトーシス誘導機構の解明が期待されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
アルカリゲネス菌による腸炎防御機構の解明を進めるため、アルカリゲネス菌のノトビオートマウスの腸管を用いた、腸管微小領域における遺伝子発現の解析法(特許::PCT/JP2016/79326)による解析を進める。 また、クローン病病態活動度の新規指標候補を既に見出しており、当該分子と既存のクローン病病態活動度指標との比較を進める。
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Causes of Carryover |
本年度新たに試みた、ラマン散乱光分析法や細菌叢ゲノム解析法においては、これまでに申請者が取得してきた免疫学的手法・分子生物学的手法に加えて、高度な情報解析手法の取得が必要であったため、解析試薬やマウス等の購入が少なくなった。 新たに習得した情報解析技術も加わり、翌年度はより効率的に研究が遂行可能となると考えられ、アルカリゲネス菌の形態変化と共生破綻機構についても論文投稿を進める。
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