2018 Fiscal Year Research-status Report
女性特有癌の遺伝的リスク情報に対するソーシャル・リスクコミュニケーションの確立
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17K17689
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
甲畑 宏子 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 助教 (90762542)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 尺度開発 / 病気認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、リスクコミュニケーションにおいて重要とされる受け取り手の「ニーズ」及び、理論モデルに基づいた「疾患に関する認識」を明らかにし(H29~30年度)、正しいリスク認知を促すリスク情報の提示方法を検討することで最も効果の高いSRC手法を確立する(H31年度)ことを目的としている。今年度は、疾患の認識を理解する手がかりとして“illness representations”という理論モデルを活用した病気認知尺度の日本語版開発を行った。具体的には、健常者向け病気認知尺度であるIPQ-RH(the Illness Perception Questionnaire for healthy people)の日本語版を作成した。尺度翻訳の方法は国際医薬経済・アウトカム研究学会(ISPOR)タスクフォースが提唱するガイドライン(2005)に準拠し、以下7つのステップで翻訳作業がなされた:1)IPQ-RHの原著者から尺度翻訳に関する許諾、2)順翻訳、3)逆翻訳、4)研究者による逆翻訳のレビュー、5)認知デブリーフィングと日本語訳の調整、6)原著者確認、7)最終校正。その結果、26項目からなる日本語版IPQ-RHが完成し、今年度予定されている日本遺伝カウンセリング学会で日本語版尺度を報告する予定となっている。また、当該尺度の信頼性・妥当性を検証するため、約300名に対し質問紙調査を実施しデータを回収した。現在、統計解析を進めている最中である。また、教育介入効果検証のために、教育を行うフィールドを選定中であり、現在1社と教育内容・時期等の調整を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、育児休暇を取得したため、研究が止まっていたが、当該年度より研究を開始し、順調に進捗している。当該年度はIPQ-RH尺度の日本語訳開発を完了し、信頼性・妥当性の調査を約300名を対象に実施した。さらに、教育介入効果の検証を行うためにフィールド選定を進めており、約1社との調整が進んでいる。また、社員への健康教育を熱心に取り組んでいる健康経営優良法人への調査準備を進めており、社員教育の中で癌教育がどの程度行われているかの現状調査を実施することに加え、前述の教育介入のためのフィールドとしての協力についても併せて打診する予定となっている。企業リストを入手し、アンケート内容について精査中である。本研究を通じて得られたデータについては日本家族性腫瘍学会、日本遺伝カウンセリング学会での発表が予定されており、論文も1報投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
①投稿中論文のアクセプト:「Knowledge and attitude of hereditary breast cancer among Japanese younger and reproductive-age women」 ②学会発表:第43回日本遺伝カウンセリング学会「日本語版健常者向け病気認知尺度(IPQ-RH)の作成」、第25回日本家族性腫瘍学会「日本人女子大学生の乳癌・遺伝性乳癌に対するイメージの検討」 ③調査・分析:(1)日本語版IPQ-RHの信頼性・妥当性調査の質問紙調査結果のデータ分析を実施、(2)HBOCに関連する着床前診断における一般社会での認識調査、(3)企業における若年女性を対象とした健康教育における現状把握調査、を実施予定 ④介入:若年女性に対する教育的介入を実施予定、フィールドとして民間企業の健康セミナーを活用予定であり企業に打診し協議中
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Causes of Carryover |
2017年10月~2018年4月までの約半年間、産前産後休暇及び育児休暇を取得したため、研究活動が停止していた。学会発表等のエントリーが育休期間中であったこともあり、復帰した年度に学会発表等が実施できず、旅費等の支出が予定より大幅に減額している。2019年度は関連学会での発表が予定されており、物品購入も含め、予定通り予算遂行が可能である。
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Research Products
(5 results)