2019 Fiscal Year Annual Research Report
The role of Wnt signaling underlying the regulation of undifferentiated spermatogonia
Project/Area Number |
17K17690
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高瀬 比菜子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (40754528)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 精子形成 / Wntシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、精巣内の体細胞群、すなわちセルトリ細胞とライディッヒ細胞からのWnt分泌が、マウス精子幹細胞制御に果たす重要性を明らかにすることを目標にしている。 これまでの申請者らの研究から、精子幹細胞を含む未分化型精原細胞で古典的Wnt シグナルが活性化しており、これらの細胞増殖にWnt シグナルが寄与する可能性が示された。そこで、セルトリ細胞・ライディッヒ細胞特異的にWntリガンドの分泌が抑制されるマウス系統(Wls cKOマウス)を作出した。 0日齢から8週齢の時系列で採取したWls cKOマウス精巣サンプルを組織学的に解析したところ、0日齢から10日齢では明らかな表現型は観察されなかったが、20日齢から8週齢では一部の個体かつ一部の精細管中でのみ精上皮の菲薄化および精細管内宮の増大が認められた。8週齢Wls cKOマウスの精巣上体中には正常な成熟精子が存在し、妊孕性があるため精子形成の大部分は正常に進行すると考えられる。生殖細胞のステージ特異的なマーカーを利用した免疫染色を行ったところ、Wls cKOマウス精巣中における面積あたりのゴノサイト、未分化型精原細胞数は変化がなく、分化型精原細胞数は5週齢でのみ有意に減少していた。Wls cKOマウスではテストステロン値が減少していたことから、ライディッヒ細胞の異常を介して精子形成に部分的な異常をきたしている可能性が示唆された。加えて、一部のWls cKO精巣では精巣網の膨張が見られたため、セルトリ細胞・ライディッヒ細胞由来のWntシグナルは精巣網上皮細胞の発生あるいは恒常性維持に関与する可能性がある。
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Research Products
(1 results)