2018 Fiscal Year Research-status Report
血糖変動と糖尿病末梢神経障害および酸化ストレスとの関連
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17K17696
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
赤座 実穂 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (00769672)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 血糖変動 / 酸化ストレス / 糖尿病末梢神経障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
血糖厳格コントロールの影響をみた大規模RCTであるACCORD研究で管理強化群での死亡率上昇が報告されて以来、低血糖・高血糖を繰り返すこと(血糖変動)は新たなリスク因子として注目されている。血糖変動と心血管リスクとの関連が報告されたが、糖尿病における微小血管障害との関連は不明の点が多い。特に、糖尿病末梢神経障害に関する研究は、自覚症状・振動覚・アキレス腱反射による診断が中心で、末梢神経伝導検査も用いて詳細に評価したものはない。このため、本研究では外来患者の血糖変動を持続血糖測定モニター(Continuous glucose monitoring: CGM)にて評価し、末梢神経伝導検査で定量的に評価した糖尿病末梢 神経障害との関連について横断的に検討を行い、糖尿病患者40例において、血糖変動が糖尿病性末梢神経障害の独立したrisk factorであることを見いだし、Diabetol Metab Syndr (2018) 10:69に掲載された。 また、糖尿病神経障害の進行機序にはポリオール代謝亢進・アルドース還元酵素活性化・AGEの過剰蓄積により酸化ストレスが増大し神経変性を導くことが推定されている。血糖変動が酸化ストレスを増加させ、それを介して合併症を進行させうるのか、あるいは、酸化ストレスを介さない他の機序で合併症を進行させるかの検討は実臨床においては不十分である。そこで血糖変動と糖尿病合併症を評価した患者の酸化ストレスマーカーである尿中8-iso-PGF2αをELISA法を用いて測定し、血糖変動が酸化ストレスを増加させ合併症を引き起こすのかを評価することを現在継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29、30年度は秀和総合病院にて持続血糖モニターおよび末梢神経伝導検査を50例の糖尿病患者に施行した。臨床データを連結可能匿名化し厳重な管理のもとノートパソコンにエクセルファイルを入れた状態で東京医科歯科大学に持ち帰り、血糖変動と合併症等の関連を統計学的手法(SPSSソフト)を用いて解析した。年齢80歳以上やそのほか不適当と判断した症例をのぞき、糖尿病患者40例において、血糖変動が糖尿病性末梢神経障害の独立したrisk factorであることを見いだせ、成果はDiabetol Metab Syndr (2018) 10:69に掲載された。 H30 年度よりは秀和総合病院にて持続血糖モニターを施行した入院患者を対象とし、ELISA法を用いて尿中酸化ストレスマーカーである8-iso-PGF2αを測定し、血糖変動、合併症、酸化ストレスとの関連を検討している
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も秀和総合病院にて持続血糖モニターを施行した入院患者を対象とし、ELISA法を用いて尿中酸化ストレスマーカーである8-iso-PGF2αを測定し、血糖変動、合併症、酸化ストレスとの関連を検討する。
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Causes of Carryover |
H29年度は外来患者を対象として横断研究を行ったが、尿中酸化ストレスの測定には蓄尿検体を使用することに変更とした。そのためには新たに入院患者のリクルートが必要となり、H29年度はELISA測定は行わずH30年度以降に新たにリクルートし測定を開始することとした。現時点での尿中酸化ストレス計測症例数は30であり、80症例以上を目標としているため、次年度使用額が生じた。
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