2020 Fiscal Year Research-status Report
血糖変動と糖尿病末梢神経障害および酸化ストレスとの関連
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17K17696
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
赤座 実穂 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (00769672)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 血糖変動 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度も本研究の目的は、血糖変動と酸化ストレスとの関連について明らかにすることであり、持続血糖測定を行った2型糖尿病入院患者の尿中8-isoProstaglandin F2α(8-iso-PGF2α)をELISA法で新たに26名測定した。 2019年度測定した34例の患者のDay2→8での血糖変動、尿中8-iso-PGF2αの変化は、Day2→8では24時間の平均血糖(MBG)は182±52 → 137±26mg/dl, p<0.001, 血糖標準偏差(SDBG)は 44.1±14.2→31.8±15.2mg/dl, p=0.016にそれぞれ有意に改善した。8-iso-PGF2αは20名 が低下(121[62-896]→92[51-804]ng/gCre, p<0.001、改善群とした)、12名が上昇した(74[34-474]→103[72-673]ng/gCre, p=0.002、非改善群とした)。改善群は非改善群に比べ、MBG(Day2) が有意に低く(169±50 vs 210±46 mg/dl, p=0.034), SDBG(Day2)が低い傾向があった(40.3±14.1 mg/dl vs 49.7±12.5mg/dl, p=0.078)。Day8ではMBG・SDBGともに両群間に有意な差はなかった。8-iso-PGF2αの変化率(Day8/Day2)はMBG(Day2)と正の相関(Spearman’s ρ=0.362,p<0.05)を認めた。現時点では酸化ストレスマーカー改善群、非改善群において治療後Day8のMBG・SDBGともに両群間に有意な差はなかったが、治療前Day2では非改善群でMBG、SDBGが高かったため、糖毒性が酸化ストレスの改善を妨げた可能性が示唆されている。2021年度は2020年度に尿中8-isoProstaglandin F2α(8-iso-PGF2α)を 測定した26例の血糖変動を求め、同様の検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年、2018年度は持続血糖モニターをもちいて評価した血糖変動と末梢神経伝導検査による末梢神経障害の程度との関連を検討し、血糖変動が高いほど、内側 足底神経障害の程度が強く、血糖変動が糖尿病性ニューロパチーの進行に影響する可能性を見いだした。論文を執筆し Diabetol Metab Syndr. 2018 Sep 12;10:69.に掲載された。血糖変動が糖尿病合併症進行させる機序として酸化ストレスの関与が疑われており、2019年度、2020年度はさらに血糖変動と酸化ストレス測定の検討を追加できている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに糖尿病患者60例の尿中酸化ストレスマーカー(8-iso-Prostaglandin F2α)の測定を終了し、うち34例は血糖変動との関連を検討できている。2021年度は2020年度に酸化ストレスマーカーを測定した患者の血糖変動を調べ、さらに20症例の検査を追加し、計80例 を目標として、血糖変動と酸化ストレスとの関連を検討する。
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Causes of Carryover |
2020年度(2020年4月から2021年3月)の測定検体は2020年3月までに入院した患者の尿検体であり、26症例であった。 2020年4月以降の入院症例はCOVID19感染が完全には否定できないため尿検体測定を一時中断する必要があり、目標の80例に届かなかった。2021年4月より、入院患者のCOVID19のPCR検査が実施されるようになったため、感染リスクのない尿検体にて検査可能となり、目標の80症例に達すると思われる。
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