2020 Fiscal Year Research-status Report
スペイン語コロケーション教材開発に向けたスペイン語と英語の対照研究
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17K17698
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
蔦原 亮 九州大学, 言語文化研究院, 助教 (90792432)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コロケーション / スペイン語 / 英語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はこれまでの研究から得られた知見を反映させた教材を作成しつつ、poner, dar, echar, meter, といった譲渡や付加を表す三項動詞と抽象名詞のコロケーションを重点的な研究テーマとした。Poner と dar は特に、抽象名詞とのコロケーション上の相性がいいこと、それぞれが異なるタイプの名詞と共起すること、すなわち機能、コロケーション上のすみわけがあることを報告した。この研究は日本イスパニヤ学会で発表したのち、論文に取りまとめ、雑誌、Hispanica に投稿した。 また、研究機関中に、作成した教材のプロトタイプを用いて授業を行ったところ、全体的に脱意味化用法は学習者にとって困難であることがわかった。そこで脱意味化現象とこの現象に関する様々な先行研究をスペイン語教育という観点から捉えなおすという試みを行い、スペイン国立ハエン大学で開催された学会、INLEXICO 2021 にて発表を行った。脱意味化とは動詞が事象名詞等の叙述性の高い補語と共起した際にその意味の大半を失う現象をさす。軽動詞や疑似連結動詞等の用法は脱意味化用法の結果と考えられる。 発表は高く評価され、研究を学会プロシーディングスではなく、フルペーパーとしてジャーナル、RILEX に投稿するとの提案を受けた。 前年度に投稿していた、疑似連結動詞としての ir の研究、並びに軽動詞 echar に関する研究が条件付き採択となり、その修正作業や再検討も行った。最終的にいずれも採択されることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は 2019 年度までのものであり、最終年度はスペイン語圏での調査や打ち合わせ、研究の発表をメインに進める予定であったがコロナ禍で頓挫し、研究期間を延長することとなった。そのため、当初予定していた研究計画自体は既に達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
スペイン語と英語のコロケーションの対照研究を進め、得られた知見を基にスペイン語のコロケーション教材を開発することが本研究の目的であり、当初の目的は達成された。今後の研究の方針として、コロナ禍による大幅な学習スタイルの変化に沿った教材スタイルの模索が挙げられる。
また、先述の脱意味化という現象も、対照言語学の見地からは掘り下げるべき事項が多くあると思われ、推進していきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で予定していたスペイン出張を行うことができなかったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は可能であればスペイン出張に使用する。または状況に応じ、スペイン語、英語論文の校閲費に充てることを計画している。
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