2018 Fiscal Year Research-status Report
第三共和政期の音楽史記述におけるフランス人作曲家のカノン形成
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17K17707
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
成田 麗奈 東京藝術大学, 音楽学部, 助手 (30610282)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 近代フランス音楽 / カノン作曲家 / 音楽史記述 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の資料調査をふまえて、今年度は近代フランス音楽のカノン作曲家19名について、音楽史書記述の精読と音楽史書データベース作成に向けた準備作業を行った。音楽史書に関しては、通史とフランス音楽史に限っても100件以上あるため、重点的に読む文献として、分量的・質的に重要であると判断される以下の文献を選抜し、これらの記述内容の読解を主軸としながら、その他の音楽し記述の傾向を比較参照することとした。 Lavoix(1891), Woollett(1909-1925), Landormy(1910), Combarieu(1913),Combarieu, Dumesnil(1955-1960), Roland-Manuel(1960-1963), Chailley(1967-1990),Massin(1983) また、音楽史記述の背景をふまえて分析・考察を行うために、フランス音楽学の歴史に関する先行研究や、歴史・文学史・演劇史・美術史などの主要文献を読み進めた。 今年度は文献読解に専念したため、研究成果の発表は私的な勉強会や研究会の範囲にとどまったが、来年度の研究成果報告書出版に備えて、論の構成に関する検討を進めた。カノン作曲家19名については、個々の記述内容をまとめるだけでは羅列的になってしまうため、以下のグループに分けることで、記述内容の相対的な比較も行いながら論じる予定である。 ①オペラ作曲家(グノー、マスネ、ビゼー他)、②交響曲作曲家(サン=サーンス、フランク、ダンディおよびフランク楽派他)、③フォーレ、ドビュッシー、ラヴェル、④サティと六人組 このグループ分けのもと、カノン作曲家としての要件について、Weber(1999)および成田の仮説(2016b)に基づき、分析・考察を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の進捗状況で述べた計画通り、今年度は各作曲家に関する音楽史記述の読解に集中することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、成果報告書の出版とデータベース公開を予定している。また、報告書の構成にはおさまらないケース・スタディに関しては、紀要論文として別途投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、昨年度までに収集した資料の読解を集中的に行い、年度末の海外出張資料調査を行わなかったため、残額が生じた。むやみに計画の遂行のみを重視して出張するよりも、残額分を、来年度の海外出張資料調査(成果報告書執筆のための裏づけ調査)および研究成果報告書の編集・校閲・出版の費用に充てることが、研究上もっとも有意義であると判断した。
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