2017 Fiscal Year Research-status Report
炭素とハイパーブランチポリマーのハイブリッド材料による高難度触媒反応
Project/Area Number |
17K17709
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
難波江 裕太 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (40514881)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ハイパーブランチポリマー / 重縮合 / フリーデル・クラフツ反応 / ポリエーテルケトン / 全芳香族ポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
フタル酸末端を有するハイパーブランチポリマーの合成経路として、芳香族ジカルボン酸無水物モノマーのフリーデルクラフツ自己縮合反応により、ハイパーブランチポリエーテルケトンを得る合成経路を確立した。1,3-bis(3,4-dicarboxyphenoxy) benzene dianhydride をAB2モノマーとして、フリーデルクラフツ自己縮合反応に供することにより、ハイパーブランチポリエーテルケトンを得た。ポリマーの化学構造をH-NMR、および13C DEPT NMRによって決定することに成功した。重量平均分子量が12-224kDaの幅広い範囲でハイパーブランチポリエーテルケトンを得た。イオン交換容量は7 mmol/gを超えており、イオン交換樹脂としては非常に大きい値を示した。 別種の芳香族ハイパーブランチポリマーとして、ポリエーテルスルホンの炭素材料への固定化法を検討した。種々固定化法を検討した結果、35wt%程度のポリエーテルスルホンをカーボンブラック上に固定化することに成功した。得られたサンプルを触媒とし、ブタノールと酢酸のエステル化反応を実施した。固定化や触媒活性に対する、ポリマーの分子量の影響を調べたが、検討した分子量の範囲内(Mw: 20-170 kDa)では、分子量依存性は小さかった。比較対象としてリニアポリエーテルスルホンを合成し、炭素材料への固定化前後の触媒活性を比較したところ、ハイパーブランチポリエーテルスルホンが、リニアポリエーテルスルホンに対して明確な優位性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フタル酸末端を有するハイパーブランチポリマーの合成経路として、野心的な経路、および実績のある経路の2経路を計画したが、このうち野心的な経路の確立に成功し、その後の炭素材料への固定化や、触媒反応の検討に着手することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、上記の要領で作製したポリマーを、炭素上に固定化する手法を検討する。固定化反応の際の触媒、反応温度、反応時間などを詳細に検討する。また比較対象として、炭素材料を用いずに不均一触媒化することを目的として、ポリマーの架橋反応を検討する。固定化の成否は、固定化反応前後の中和滴定、および元素分析によって判断する。またフタル酸末端をヒドロキシルアミンと反応させ、NHPI構造を導入する。NHPI構造導入の成否は、FT-IR測定、酸塩基中和滴定、CHN元素分析になどによって定性的、定量的に評価を行う。
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Causes of Carryover |
計画した合成法の確立が速やかに完了したため、物品費が予定を下回った。次年度、実験費・謝金に充当し、研究を加速する予定である。
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Research Products
(6 results)