2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of pulse synchronous multi-gas supersonic plasma jet for remote surface treatment
Project/Area Number |
17K17710
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮原 秀一 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (80525080)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大気圧プラズマ / 表面処理 / ラジカル / プラズマジェット / 超音速 / マルチガスプラズマ / 分光計測 / 親水性向上 |
Outline of Annual Research Achievements |
印刷性,塗装性の向上や,表面改質の目的で大気圧プラズマが広く利用されるようになってきた。その多くは,従来の高温プラズマではなく,プラズマ温度(主に回転温度)が室温程度~100℃程度の低温プラズマと呼ばれるものを利用している。換言すれば,大気圧下でも低温プラズマが生成でき,これを活用できるようになったからこそ,従来不可能であった温度の上昇に弱い物質に対しても,プラズマ処理が施せるようになり,応用が広がった。一方で,大気圧低温プラズマは,プラズマ発生部とプラズマ照射対象物の距離が離れると,処理効果が格段に低下することが,特に工業応用において問題である。これは平均自由工程の短い大気圧下では,他の分子・原子との衝突頻度が高いことから,放電により発生させたイオンやラジカル類がすぐさま衝突を起こし,不活性化してしまうことが原因である。本研究では,イオンやラジカル類が失活する前に処理対象物に到達させれば,プラズマ発生部とプラズマ照射対象物が離間していても,十分なプラズマ処理の効果が得られると考え,プラズマを亜音速以上のジェットにして噴出させる「遠隔処理用大気圧マルチガスプラズマ源」の開発を行った。本年度は,過年度に実現できていなかった,①酸素を超音速流プラズマジェットにすることと,②ジェット流が導入された瞬間にのみ大電力を投入できるプラズマ生成システムを完成させることに注力して取り組んだ。これにより,酸素ガスを用いても,超音速流のプラズマジェットを得ることに成功した。また,ジェット流が導入された瞬間にのみ大電力を投入できるシステムが完成し,過年度よりも高密度なプラズマを発生できることがプラズマの分光診断により確認できた。また、プラズマ発生部とプラズマ照射対象物が離間した際のプラズマ処理効果の向上が認められた。また過年度よりも簡易なシステムでの構築が可能となり,早期の社会実装が期待できる。
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