2017 Fiscal Year Research-status Report
森林環境中の植物系廃棄物からの放射性Cs回収プロセスの開発と再資源化可能性の探究
Project/Area Number |
17K17716
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 秀治 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任助教 (50625960)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 廃棄物減容化 / 廃棄物処理 / 廃棄物再資源化 / バイオマス / 反応・分離工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
福島第一原発事故により放射性セシウム(Cs)で汚染された森林環境の除染のため、住居等の近隣地域や人が日常的に立ち入る地域で落ち葉除去・伐採・枝打ち等が行われている。除染により発生する植物系廃棄物の量は莫大であり、保管場所の確保の難しさから、廃棄物の減容化や再資源化が求められている。高減容化するためには廃棄物からのCs分離は不可欠である。本研究では、汚染した植物系廃棄物からCsを分離するとともに、Cs分離後の廃棄物の再資源化の可能性を探索する。本年度は植物系廃棄物のモデルとして福島県に多く存在する広葉樹・針葉樹を選択し、非放射性Csを吸着させた模擬汚染廃棄物を作成した。温度、圧力などの水熱分解条件とCs分離率の関係を調べることで、Cs分離率は水熱分解処理後の液相への移行Cs量/廃棄物中の初期Cs量、そして、糖類生成率は水熱分解処理後の液相での糖類生成量/処理前廃棄物重量と定義し、高Cs分離・高糖類生成の両方を満たす水熱分解条件を文献調査また実験的に検討した。比較的に高温の200℃以上において植物系廃棄物の分解が進みCs脱離率の向上がみられることがわかってきたが今後高い糖類生成が見込める条件を継続的に調べる必要がある。研究計画通り、平成29年度内に半流通式水熱分解装置(試料回収部)を設計・依頼製作し試験に導入することができた。本装置が納入されるまでは既設の水熱分解装置のみで実験を進めたが本装置の導入により高Cs分離性・糖類生成特性が見込める条件探索の効率化が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究を通して、植物系廃棄物の高Cs分離を満たす水熱分解条件を検討することができた。また、研究計画通り、平成29年度内に半流通式水熱分解装置(試料回収部)を設計・依頼製作し試験に導入することができ、本装置を各種実験に用いることで高Cs分離性・糖類生成特性が見込める条件探索の効率化が可能となった。一方で高い糖類生成が見込める条件を継続的に調べる必要はあるが全体としてはおおむね順調に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
高いCs分離率、高い糖類生成率の両方を満たす水熱分解条件を明らかにするCs分離試験を継続して行い、その再現性を含め実験的に確認する。また、植物系廃棄物からのCs分離メカニズムについて考察する。最後に、これまでの知見に基づいて、実規模の連続プロセスを概念設計し、規模、減容効果、処理後残物の廃棄体としての性状、再資源化について実用性の観点から本技術を評価する。
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Causes of Carryover |
半流通式水熱分解装置(試料回収部)の冷却部設計を改良することで物品費を当初予定の見積金額より安く抑えられたため。また、消耗品である水熱分解装置の内筒において現有のものを本年度において継続使用できたことで新規購入をとりやめたため。次年度使用額は実験用の試薬の購入費やガラス器具等の消耗品の購入費、そして、学会旅費に充てる計画である。
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