2018 Fiscal Year Research-status Report
高アルカリ耐性多孔性アニオン伝導イオノマーによる物質移動制御
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17K17721
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮西 将史 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任助教 (00770413)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アニオン伝導性高分子 / 多孔性高分子 / 化学耐久性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度までにスピロ構造としてスピロビフルオレンを導入した多孔性高分子の合成を行い、高い溶解性と化学耐久性を有することを確認した。本年度は、合成した高分子のイオン伝導性、含水特性に関して評価を行った。合成した材料のイオン伝導度、含水特性はイオン交換基密度に依存したが、どの材料に関しても、ポリエーテルスルホンなどの一般的な芳香族系アニオン伝導高分子より含水率が低く、イオン交換基あたりに吸着する水分子が少ないことがわかった。一般的に多孔性高分子は細孔内に液体をため込みやすく膨潤することが多い。しかし、本研究で合成した高分子は他の多くの多孔性高分子と異なり、エーテルやヘテロ元素などの極性部位をイオン官能基以外含まず、主鎖が疎水性のベンゼン、アルキル鎖のみから構成されており、内部に水を溜めこみにくいと思われる。含水率が低くなる傾向はスピロ構造を持たない参照用の直鎖型の非多孔性高分子でも観察された。合成した多孔性高分子(IEC=2,3)の水酸化物イオン伝導性は86mS/cm(70度水中)となり、含水率がかなり低い(38%)ことを考えると高い値が得られた。参照用の非多孔性高分子より2倍以上高いイオン伝導性が得られた事から、細孔が存在することで、水が拡散しやすくなり、イオン伝導性が高くなったと考えられる。 燃料電池のアイオノマーでは、膨潤により燃料透過ガスの通り道を阻害することなく、イオンを効率よく反応サイトに供給する必要がある。以上の結果から、非極性骨格で構成される多孔性アニオン伝導高分子を用いた事で、ポリマーを膨潤させることなく、細孔内でイオンを高速移動できることが示され、アイオノマーとして優れた性能が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに合成したアニオン伝導高分子に関して、当初の目的通り含水挙動、イオン伝導特性と高分子内の細孔構造の関係性を明らかにすることができたため。 酸素透過性に関しては膜化した材料の機械強度が低く正確な測定が行えなかったが、今後MEAを作製した際の電池特性の酸素分圧依存性などから評価していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、合成した多孔質アニオン伝導高分子のイオン伝導性、含水特性などが評価できたため、この材料をアイオノマーとして用いて燃料電池を作製し、その特性を評価する。また、カソードの酸素分圧を変化させた際の燃料電池特性を評価することで材料のガス透過性に関しても議論していく。
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Causes of Carryover |
2018年度に使用予定であった物品費及び旅費が想定よりも少なかったために当該助成金が生じた。当初の研究計画通り、これまでに開発を行った材料に関して膜電極複合体(MEA)への展開を検討し、合成した材料の燃料電池性能を評価する。MEAの作成に関して10gスケールの多量の材料が必要となるため、材料費、合成費が必要となる。また、有機分子精製用のカラム(70万)を購入し材料合成を加速させる事を検討しており、当該助成金はこれらの用途に使用する予定である。
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Research Products
(18 results)