2017 Fiscal Year Research-status Report
One-shot 3D imaging using optical frequency comb and imaging rotator
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17K17727
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
加藤 峰士 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 特任助教 (20795926)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 光コム / 光周波数コム / 光計測 / 瞬時3次元形状計測 / 断層計測 / スペクトル干渉 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては、イメージローテーターを用いた3次元形状計測を実証しその特性や有用性を確認した。またこの時確認された課題点を克服するため、瞬時2次元分光法の発明とそれを用いた高解像度瞬時3次元形状計測手法を開発し、最終的な目標である瞬時3次元形状計測に到達可能な技術の発明に成功した。さらに3次元断層像計測への応用の基礎実験を行い、ガラスの層構造やLEDの表面構造の可視化に成功した。 まず提案する瞬時3次元形状計測手法についての原理をScientific Reportsより論文発表した。 イメージローテーターを用いた3次元形状計測については、当初計画していた基礎実験を実施してその有効性を確認した。具体的には、直交する2方向に向くよう干渉画像を回転させ、ブロックゲージの段差構造計測を行った。これの成果についてはCLEOPR2017において口頭発表した。 その後上記の手法を研究した中で出てきた課題点を克服するための手法として、干渉を利用した2次元分光法の発明とそれを用いた瞬時3次元形状計測手法の開発を行った。これは従来困難であった高空間・波長分解能を有する2次元分光を、光コムの高い制御性を利用して実現したものであり、画像素子1ピクセルで取得できる情報から瞬時に奥行き情報を特定出来るため、本研究の目標である瞬時3次元形状計測を完全に達成することが出来る手法と言える。これらは、2018年春季応用物理学会、ALPS2018で口頭発表し、CLEO2018でも口頭発表する予定である。また、上記の2次元分光と瞬時3次元形状計測手法について特許を3件出願した。 3次元形状手法を3次元断層計測に応用する研究については、上記の手法開発と並行して研究を行った。実際に、ガラスと空気層を含んだ層構造や、LEDの内部構造の可視化を成功させて、ICO2017、2017年秋季応用物理学会で口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
イメージローテーターを用いた3次元形状計測については、まず直交する2方向に向くよう干渉画像を回転させ、ブロックゲージの段差構造計測を行った。その結果、3枚のブロックゲージの段差構造の可視化に成功し、原理の正しさを実証した。一方で、この手法における課題点も明らかになった。この手法では回転させて得られる奥行き情報を回転角に応じて3次元像に再構成するため、計測する際の角度情報の正確さが大きく影響することが明らかになったうえ、回転角の角度によって計測可能な対象物体の形状に制限が出ることが分かった。そこで、任意形状の3次元形状計測を瞬時に行うための新たな手法の開発を行った。 イメージローテーターを用いた3次元形状計測では1次元分光を多数回行うというものであったが、新たな手法では瞬時に2次元分光を行うという画期的な手法である。元々我々の瞬時3次元形状計測ではチャープパルスのスペクトル干渉縞模様を解析することで奥行き情報を取得することが出来る。この手法では、スペクトル干渉の最低干渉縞周波数波長の波長情報を単純な強度情報に変換することで、画像素子1ピクセルで取得できる情報から波長を特定するというものである。すなわち、画像素子の各点で分光していることに相当する。この手法によって、カメラと同等の空間解像度を有する3次元形状を瞬時に取得することが原理的に可能となった。 上記の研究を進める一方で、3次元形状計測手法を3次元断層像計測へ応用する試みも同時進行させた。初めに、ガラスと空気層で構成された層構造体でその原理を実証し、イメージング光学系を用いてLEDの電極構造から樹脂層表面までを含む3次元内部構造の可視化に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度では、平成29年度の研究において新たに開発した2次元分光法を用いた瞬時3次元形状計測手法を用いて、既知の構造を用いた計測精度の評価、イメージング光学系を用いた粗面形状計測、パルス間干渉を用いた高アスペクト比の物体の形状計測を行い、研究目標である高解像度を有する瞬時3次元形状計測手法を実現させる予定である。 イメージローテーターを用いた3次元形状計測では、その計測手法の特性から計測対象に回転対称性を要求するなどの制限があることが分かったが、新しい2次元分光法を用いた3次元形状計測ではそのような制限を完全に克服することが出来るため、平成30年度ではこの新しい手法の有用性について追及する予定である。平成29年度末の時点では、2次元分光法を用いた形状計測の不確かさは約0.05 mmと以前の研究に比べて1桁大きい。これは光学系の不安定なためであり、その解決方法として光コムの繰り返し周波数へのフィードバック制御が考えられる。これによって、2次元分光法において必要な位相差パルスを安定して生成することが出来、不確かさを生み出す要因が低減するものと考えられる。原理的には、以前と同じスペクトル干渉を用いて計測しているので、この手法でもサブマイクロの不確かさに到達することが出来ると見込まれる。 不確かさを低減したのちは、適切な対物光学系を用いて様々な物体の形状を計測し、計測装置としての性能について検証・分析する。特に、感度については詳細に検討したいと考える。この手法は干渉という高効率な現象を利用しており、微弱な反射光でも計測できる可能性がある。この時、計測に必要な反射強度がどの程度かを明らかにすることが出来れば、例えば、光源強度に対して計測可能な距離を見積ることが出来る。 また、2次元分光法を用いた3次元形状計測を断層計測へ展開する方法についても並行して検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度においては主に光周波数コムを構築するための光学素子や周辺機器を購入した。当該助成金はその際の残額であり、翌年度では構築した光周波数コムを用いて行う各種実験のための必要部品または機器を購入する予定である。
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Research Products
(18 results)