2018 Fiscal Year Research-status Report
コーポレート・ガバナンスをめぐる企業と資本市場の相互影響の解明
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17K17728
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
円谷 昭一 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (90432054)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コーポレート・ガバナンス / 政策保有株式 / 役員報酬 / 機関投資家 / スチュワードシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の成果の1つである『コーポレート・ガバナンス-本当にそうなのか?-大量データからみる真実』(同文舘出版、2017年12月)は、2018年度のダイヤモンド社ベストビジネス書17位にランクインした。研究初年度に収集したデータを用い、2018年度に学術論文4本を発刊執筆している。学会発表は国内2件、海外1件であった。とりわけ海外発表は、日本会計研究学会の代表として、台湾会計学会年次大会(政治大学,2018年12月)に日本の政策保有株式の保有状況および売却状況、コーポレート・ガバナンスへの影響について発表し、台湾・韓国の研究者と積極的に意見交換を行ってきた。そこで得たコメント、アドバイスを活用して研究をさらに進める予定でいる。国内の学会発表は日本ディスクロージャー研究学会および日本管理会計研究学会の招待講演であり、ともにコーポレート・ガバナンスに関する発表を実施した。本研究で焦点を当てている政策保有株式、役員報酬ともに社会からの関心も高く、実務界からの要請によって実務家向けセミナー、機関投資家意見交換会等を多数実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終年度での書籍化に向けて、おおむね順調に進展している。対外発表については計画を上回るペースで行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は政策保有株式を中心に実証研究を進め、書籍として刊行することを目指す。現在、政策保有株式の生成史や関連法案の整理、文書化を終えており、実証研究を実施する段階にある。デメリット面については経営者のエントレンチメント効果、財務諸表のボラティリティの上昇などをすでに明らかにし、論文でも発表している。現在はメリット面を定量化する作業を続けている。具体的には、株式の保有先企業は(そうでない企業と比べて)取引関係が長期化しているか、安定化しているかといった巷間で言われている効果の可視化を進めている。最終的には、メリット・デメリット面をそれぞれ定量化したうえで、その効果がプラスであるかマイナスであるかを判断する計画でいる。議決権行使結果のデータベースも独自に構築しており、それらを利用した実証研究も計画している。
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Causes of Carryover |
2019年度に1年間の在外研究および研究成果の書籍出版を計画しており、そちらにできる限り充当するため。
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