2019 Fiscal Year Research-status Report
Social Anthropological Study of Election and Democracy among Orang Asli in Eastern Sumatra
Project/Area Number |
17K17729
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
大澤 隆将 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (40795499)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オラン・アスリ / 権力 / 選挙 / スマトラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度の選挙に関するフィールドワークの情報を整理するため、追加の現地調査と文献研究を行うとともに、短文の執筆・研究発表を行った。 現地調査に関しては、9月2日-同月23日にかけて、インドネシア、リアウ州ベンカリス県のスカ・マジュ村において現地調査を行った。本村落はオラン・アスリの一地域集団であるスク・アスリが多数派であり、本調査は2012年に同村が分割・新設されて以降初の村落長選挙の過程と結果の詳細について聞き取り調査を行うことが目的であった。この調査の中では、少数派のジャワ人候補者が当選した理由について村落民から情報収集を行い、エスニシティが必ずしも政治的結束につながらないことを発見した。 文献研究に関しては、選挙、エスニシティ、先住民性および東南アジア史に関する和書13冊洋書26冊を購入し、研究を行った。特に、民族性とナショナリズムに関する議論は、本研究の視座と強い関連性を持つものであり、国民国家において民族性が果たす役割と村落行政において民族性が果たす役割の相似性と相違性について分析を行った。 また、本年度は特に研究発表に力を入れ、英語・日本語による研究発表を4回、また発表のコメンテータ―とワークショップの主催を一回ずつ行った。特に、6月に開催された文化人類学会第53回研究大会においては、「議論無き選挙:東部スマトラに暮らすアキットの村落長選挙を通して」と題する発表を行い、オラン・アスリの暮らす村落の選挙において民主主義的な公の議論が生まれず密室的な談合が行われる現実について報告を行い、その要因の分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究経過は、コロナの影響を除きおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は研究資金の一部を繰り越したが、これは、当初2019年度の3月に開催を予定されていた研究会「インドネシア研究懇話会」における発表のための出張経費であった。本会議はコロナによる影響で延期されたのち、本年度の11月28、29日に開催される予定である。繰越資金は、これに出席・発表する目的で使用される予定である。 また、本年度中に、何らかの形で研究成果を執筆・投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の発生により、3月末に予定されていたインドネシア研究懇話会が延期となり、それに伴う東京での文献採集も中止した。本残額は2020年度へと繰り越し手続きを行い、11月に開催される予定である同研究懇話会への参加・出張経費および同時に行う予定である文献採集において支出される予定である。
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