2019 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on subsites of processive chitinases
Project/Area Number |
17K17740
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
杉本 華幸 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60529527)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 連続分解 / キチナーゼ / サブサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,連続分解型キチナーゼの個々のサブサイトが基質分解の速度パラメータにおよぼす影響について解析を行い,個々のサブサイトの役割を明らかにすることで,本酵素の作動機構の解明を目指している。 昨年度までに,基質分解に重要であると示唆される-3サブサイト(J. Biol. Chem. 2009)について2種のサンプルを用いて解析を行った。モデル酵素であるSmChiAと新規解析対象のBcChiA1では,本サブサイトの基質分解への寄与が異なることが分かった。BcChiA1の場合,他のサブサイトの寄与が大きいことが予想された。そこで,BcChiA1とSmChiAでは,-6および+2サブサイトに位置する芳香族アミノ酸残基が異なっていることに着目した。今年度は,BcChiA1の-6および+2サブサイト置換体を調製し,基質分解反応の速度論解析を行った。 結晶性β-キチンの分解反応では,いずれの置換体でも野生型より活性が低下したが,アミノ酸置換が速度論パラメータへおよぼす影響は異なった。-6サブサイト置換体では,見かけの分子活性への影響は小さいが,基質との親和性が顕著に減少した。他方,+2サブサイト置換体では,基質との親和性への影響は小さいが,見かけの分子活性が顕著に減少した。-3サブサイト置換体では,見かけの分子活性と基質との親和性の両方が減少した。基質側のサブサイトでは,酵素-基質間の親和性への影響が大きく,生成物側のサブサイトでは見かけの分子活性への影響が顕著であった。水溶性ポリマー基質の分解反応の解析結果も併せて考察すると,-6サブサイトは酵素反応の初期段階である酵素-基質複合体の形成に特に重要であること,+2サブサイトは連続反応性や加水分解後の生成物の解離過程において重要であることが示唆された。以上の結果より,BcChiA1の各サブサイトの個別の役割を裏付けることができた。
|