2017 Fiscal Year Research-status Report
摩擦を利用したダンパ・ブレーキ・速度センサ統合型メカトロ-センシング機構の創成
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17K17741
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
角 直広 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (20758114)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | すべり案内 / 機械要素 / ダンパ / センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,摩擦の性質を応用して可変減衰ダンパ,ブレーキ,および速度センサの機能を統合した新たな機素・センサ複合装置を開発し,同装置を位置決め・案内システムに実装することで,その有効性を検証することを目的とする.同装置は,従来より応答性に優れた速度センシングとともに,駆動時にはダンパ,静止時には摩擦ブレーキとして機能し得る装置の実現を目指すものであり,本研究が完了すると,位置決め・案内システムの動剛性および制御系の安定性・応答性の大幅な向上に寄与すると考えられる.平成29年度の研究では,提案する機素・センサ複合装置のダンパ機能に着目し,理論的および実験的に検討した.その結果,提案する動作原理によって摺動面に擬似的な粘性減衰効果が生じ,同原理を適用したすべり案内システムに近似的な線形ダンパを付加した状態になることを明らかにした.また,この近似的なダンパの減衰係数とシステムの運転条件の関係を解明し,システムに所望の粘性減衰を与えるための指針を理論および数値解析によって確立した.さらに,これらの検討結果を検証するために,検証用の簡易的な実験装置を作成し,検証実験を実施した.その結果,実験結果が上記の検討結果と定性的に一致したことから,一連の検討結果の妥当性を確認した.上記の検討に加え,研究代表者が所有する既存の実験装置を用いた他の実験を実施した.その結果,テーブルと案内軸から成るすべり案内要素の案内面に上記ダンパ機能の動作原理を応用すると,ダンパ機能だけでなく,運転中のテーブルのピッチングおよびヨーイングを低減できることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験装置の設計作業に遅れが生じ,実験による検証を開始する時期が遅れた.ただし,その間に理論および数値解析による検討を詳細に行い,理論的な基礎を確立し,得られた知見を論文として国際的な学術誌に投稿・採録されるに至った.また,当初の想定より簡素化した実験を行うことで,最低限の検証を遂行し,研究を着実に推進した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の退職に伴い,本研究を継続することが困難になった.そこで,本研究は中止し,補助事業の廃止手続きに移行する.
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Causes of Carryover |
実験装置の設計作業が予定より遅れ,当初想定した規模の実験装置を年度内に完成させることができなかった.次年度以降は,研究代表者の離職に伴い,研究継続が困難になることから,補助事業の廃止手続きに移行する.
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