2017 Fiscal Year Research-status Report
ジエン骨格を特徴とするゴム材料の合成と高機能ゴム材料開発のためのモデル構築
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17K17742
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
戸田 智之 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (60709335)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 合成ゴム / 均一系触媒 / 配位重合 / 錯体 / 共役ジエン / 高分子反応 / 共重合 / デンドラレン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、遷移金属錯体触媒による配位重合を用いた汎用ジエン類とデンドラレンとの共重合により、ポリマー内部に共役ジエン骨格を有するポリマー材料の開発ならびにこれを用いる新規ゴム材料開発の基礎的な知見を得ることを目的としている。 交差共役系化合物であるデンドラレンは、アニオン重合によって主鎖に共役ジエン骨格を有するポリマーを与えることがわかっている。しかしながらこの化合物のその他の重合性については未解明な部分が多く残っている。そこで本年度はチタン錯体を用いて、2-ヘキシル[3]デンドラレン、2-フェニル[3]デンドラレンおよび2-トリメチルシリル[3]デンドラレンの配位重合を行い、その重合性を明らかにしてきた。さらに共役ジエンとしてイソプレンを選択し、これとの共重合についても検討し、新しい材料としての可能性を探索してきた。 [3]デンドラレンとして2-ヘキシル[3]デンドラレンの重合を行ったところ、イソプレンと比較して重合は遅いもののポリマーを得ることができた。NMR測定の結果、得られたポリマーのミクロ構造についてはビニル付加ではなく共役付加による構造のみが得られていることがわかり、これはTHF中、低温でアニオン重合した際と同様の結果であった。分子量分布は2.1とやや広かったが、単峰性であり、一般的な遷移金属錯体触媒による重合結果と一致している。一方、2-フェニル[3]デンドラレンの重合では、重合中では可溶性であるものの、再沈殿後には不溶性ポリマーを与えた。これについては次年度に詳細を明らかにしていく予定である。また2-トリメチルシリル[3]デンドラレンについては重合が進行しなかった。イソプレンと2-ヘキシル[3]デンドラレンの共重合においてはランダム共重合が進行することがわかった。この点についてはアニオン重合の場合とは対照的な結果であり、配位重合の優位性が示されたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までにシクロペンタジエニル配位子を有するハーフメタロセン型トリクロロチタン錯体とメチルアルミノキサンを組み合わせた触媒系を用いて、デンドラレン類の配位重合ならびにイソプレンとの共重合について検討し、重合性を明らかにしてきた。 当初の計画通りであり、研究計画はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 2-フェニル[3]デンドラレンの重合性の解明 先にも述べたように、チタン錯体とメチルアルミノキサンの組み合わせにより2-ヘキシル[3]デンドラレンの単独重合が進行し、可溶性ポリマーが得られるものの、2-フェニル[3]デンドラレンの重合では、不溶性ポリマーを与えることがわかっている。この置換基の効果を明らかにするため、重合条件の再検討を行い、2種類の[3]デンドラレンのモノマーとしての重合性の違いを明らかにする。またイソプレンとの共重合も行うことで、多角的検討によるアプローチにより2-フェニル[3]デンドラレンの重合性を解明する。 2. 触媒系の探索 デンドラレンの配位重合に対し、より適した触媒系の探索を行う。具体的には均一系分子性錯体触媒を中心に検討し、イソプレンなどの共役ジエン類との共重合についても展開していく。 さらにここまで得られた知見をもとに、[4]デンドラレンの配位重合についても検討し、新しい材料探索を進める。
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Research Products
(14 results)