2018 Fiscal Year Research-status Report
機能性トリテルペンのがん悪液質性筋萎縮に対する改善効果の検証
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17K17746
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Research Institution | Toyama College |
Principal Investigator |
藤田 恭輔 富山短期大学, その他部局等, 講師 (70707538)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | がん悪液質 / 筋委縮 / エゴマ葉 |
Outline of Annual Research Achievements |
H30年度は、機能性トリテルペンが含有されるエゴマ葉が、がん悪液質性筋萎縮の抑制に関与すると考えられているTGR5を活性化する作用を有するのか、がん悪液質モデルマウスの筋委縮に対して有効性を示すのかを検討した。 まず、研究に用いるエゴマ葉において機能性トリテルペンが含まれるかを検討するため、LC/MS分析を行った。その結果、オレアノール酸、ベツリン酸、ウルソール酸が含有されていることが確認された。HEK293細胞におけるレポーターアッセイを用い、エゴマ葉抽出物のTGR5に対する効果を検討した。エゴマ葉抽出物は、濃度依存的にTGR5発現HEK293に対しルシフェラーゼ活性作用を示し、TGR5未発現細胞においては活性が見られなかったことから、エゴマ葉がTGR5を活性化する成分を含有することが示唆された。 また、C57BL/6マウス(6週齢、雄性)に対し、ルイス肺がん細胞(LLC細胞)を腹腔内移植することでがん悪液質モデルマウスを作成した。このがん悪液質モデルマウスにおいて、がんを移植した直後からエゴマ葉を2%含む餌を与え、エゴマ葉の効果を検討した。普通食を与えたマウスは、がんを移植することで14日後に握力の低下、下腿四頭筋の重量の減少が見られた。一方で、2%エゴマ葉食を与えたマウスにおいては、握力や下腿四頭筋の重量はがんを移植しても変化しなかった。これらの結果から、エゴマ葉がTGR5を活性化する成分を含有すること、がん悪液質モデルマウスの筋委縮に対して改善効果を有する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は所属の変更があり、計画していた研究を行うための実験環境が整っていなかった。研究の一部は、行えるだけの実験環境は整えることができたが、不十分な点もあり、計画よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度は、悪液質モデルマウスの筋委縮に関して、筋重量と握力のみしか評価できなかったが、次年度は組織学的な評価、および悪液質の原因と考えられている炎症性サイトカインの評価を行っていく予定である。 また、機能性トリテルペンをがん悪液質モデルマウスに与えた時の筋委縮に対する効果の評価もH30年度のエゴマ葉に引き続き行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度行う予定であった組織学的実験や炎症性サイトカイン濃度の測定等の実験が実験環境の整備の遅れのため実施できなかった。そのためそれらの実験に必要な物品の購入費用が未使用であった。次年度は、それらの実験を行うための費用として充てる予定である。
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