2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K17748
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
岩本 学 富山大学, 学術研究部社会科学系, 准教授 (70552511)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 家事事件手続法 / 承認執行 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,昨年度まで行った,実質法の比較法検討及び執行決定の導入可能性の検討を踏まえ,わが国の解釈論に寄与するための研究を行った。そして,外国扶養判断執行を簡易化する必要性と現行手続への対案について,「外国扶養裁判に対するニュージーランドにおける対応-関連判決の分析を中心に-」(富大経済論集65巻3号,2020年3月),「Recognition and Enforcement of Foreign Decisions on Personal Status Litigation and Family Relations Cases」(JYIL 62, 2020年02月),の二本の論文において一定程度示すことができた。また,「国外に居住する配偶者からの婚姻費用分担請求」(ジュリスト1542号,2020年02月)との評釈において,外国で扶養裁判を経ずにわが国で新規に扶養裁判を求める際の処理について検討した。なお,外国扶養の裁判が競合した場合におけるわが国での処理の問題につき検討を行う過程で,契約事件ではあるが本研究課題に示唆を与える裁判例が下されたため,この検討も行った。これは個別報告として,「プロ野球選手契約交渉の破棄に基づく損害賠償請求権の準拠法」(渉外判例研究会,2019年5月)及び「渉外性を有するプロ野球契約交渉を巡る法的問題-楽天イーグルス提訴事件を中心に-」(GBL(Global Business Law)定例研究会,2020年01月)と,題するものを行い,これらの報告原稿をベースとした「プロ野球選手契約交渉の破棄に基づく損害賠償請求権の準拠法」(ジュリスト1535号,2019年7月)及び「プロ野球の保留制度と外国籍選手を巡る国際私法上の問題について」(国際商事法務48巻1号,2020年1月)が年度内に公表されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請段階で想定していた手続きの簡易化への課題の抽出とその対応について,公表論文において一定の解を示せたと考えるため,このような評価とする。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究のこれまでの成果について,他の家事事件手続分野への派生的効果を検証する。なお,筆者には2020年度より新たに科学研究費として採択された課題があるが,そこでの予備的課題と本研究の残部がリンクするものであるため,両者の相互性を意識しつつ研究を継続したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナ拡散防止の観点で,2020年の出張を中止した結果,旅費について未執行が生じたため,次年度の関連学会などへの出張にあてることとする。
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Research Products
(10 results)