2017 Fiscal Year Research-status Report
カチオン性典型元素錯体を基盤とした新規な光応答性化合物コア構造の開発
Project/Area Number |
17K17751
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
吉野 惇郎 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 助教 (70553353)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 光応答性物質 / カチオン性ホウ素錯体 / フォトクロミズム / 構造-物性相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度においては、9-BBN骨格および可還元二座配位子としてN-アルキル-(2-ピリジルメタン)イミン (以下ピリジン-イミン配位子)およびN,N'-ジアルキルエタン-1,2-ジイミン (以下ジイミン配位子)を有する4配位カチオン性ホウ素錯体を合成し、その光応答挙動について明らかにした。ピリジン-イミン配位子をもつ錯体は固体状態で紫外光を照射すると着色し、2,2'-ビピリジンを配位子として有する錯体と同様の光応答挙動を示すことがわかった。一方でジイミン配位子をもつ錯体では光応答着色挙動は観測されなかった。理論化学計算によりカチオン部分の分子軌道を調べたところ、ピリジン-イミン配位子をもつ錯体と2,2'-ビピリジンを配位子として有する錯体では最高被占軌道(HOMO)の形状が類似しているのに対して、ジイミン配位子をもつ錯体ではHOMOが前2者とは異なる分布をしていることがわかった。 平成29年度の成果は、筆者らが見出した光応答性カチオン性ホウ素錯体コア構造をもとにした光応答性化合物の分子設計指針上重要な発見である。即ち、従来は配位子部分に2,2-ビピリジン構造をもつ4配位カチオン性ホウ素錯体についてのみ光応答性を発現することがわかっていたが、平成29年度の成果により、2,2-ビピリジン構造をもたない配位子を持つ場合でも光応答性を発現できることが示された。また、ジイミン構造は共通していてもπ共役系が小さすぎる場合は光応答性を示さないことも明らかになった。これらのことにより、光応答性を発現させるために最低限必要な分子構造がいかなるものであるか、その全貌が判明しつつある点で重要な結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究では、4配位カチオン性ホウ素錯体の光応答挙動に及ぼす可還元二座配位子の影響の解明のために、ジイミン等の可還元二座配位子を有する4配位カチオン性ホウ素錯体を合成し、その構造、物性、および光応答性について検討することになっていたが、おおむね予定通り合成および検討が進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、当初計画通り、5配位カチオン性ケイ素錯体の光応答挙動について検討するとともに、平成29年度成果の補充的検討も行う。両年度の検討結果をとりまとめ、学会発表及び学術論文等で成果発表を行う。
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Causes of Carryover |
年度末付近で発注した消耗品について、見込みよりも若干安く調達できたため、差額が次年度使用額として生じた。 この全額を次年度の物品費に付け加えて使用予定である。
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[Journal Article] Binary Amorphous Solids Consisting of 2,4,6-Triarylphenoxyl Radicals and Their Dimers2017
Author(s)
Hayashi, N.; Ueno, T.; Okamoto, N.; Mori, T.; Sasaki, N.; Kamoto, T.; Yoshino, J.; Higuchi, H.; Uekusa, H.; Tukada, H.
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Journal Title
Tetrahedron Lett.
Volume: 58
Pages: 2547-2550
DOI
Peer Reviewed
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