2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of highly sensitive chiroptical measurements with surface plasmon resonances for analysis of trace amount of chiral molecules
Project/Area Number |
17K17757
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西山 嘉男 金沢大学, 物質化学系, 助教 (40617487)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | キラル分析 / 表面プラズモン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、貴金属薄膜で生じる表面プラズモン共鳴を利用した高感度キラル光学測定法を開発し、キラル試料の計測を通して、キラル分析法としての有効性を実証することを目的としている。本年度では、非線形光学効果(特に、第二高調波発生、SHG)を検出することで高いキラル検出能を有するキラル光学測定装置の開発を主として行った。そのために、まず、研究開始時までに構築していた、金薄膜蒸着プリズムを基盤とする表面プラズモンエリプソメトリー装置に、光源として近赤外域のナノ秒パルスレーザーを導入した。その結果、エリプソメトリー装置下で可視領域のSHG信号を検出するとともに、金の表面プラズモン共鳴を励起した条件ではSHG信号の増強も検出した。さらに、このSHGを偏光検出し、試料としてD-グルコース、L-グルコース水溶液を金基板上に配置した中で行った結果、互いに逆方向の偏光回転が明瞭に観測された。このキラル選択性を示す結果は、これまで行ってきた反射光の偏光検出では不可能であり、キラル検出能の高いSHGによりキラル選択性を飛躍的に向上させることに成功した。 また、高感度を有するキラル分析法に関して、楕円率検出を利用した円二色性測定法という新たな装置開発の点からも取り組んだ。その結果、キラル金属錯体試料(L-酒石酸ニッケル、D-酒石酸ニッケル水溶液)の円二色性スペクトルの測定を通して、開発した装置の原理検証実験に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、高いキラル検出能を有する測定装置の開発が研究計画の主たる部分であり、第二高調波発生を検出することでキラル検出能を向上させることができた。この点は、当初の想定通りに研究が進展したといえる。反面、金属薄膜の特性を最適化する点に関しては十分ではなく、これは次年度に取り組むべき課題となっている。他方、研究を進めていく中で、開始当初には想定していなかった新規の円二色性測定法を用いたキラル分析へ研究を展開することができた。総合すると、極微キラル分析を実現するという研究目標に対する計画は順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
構築した非線形キラル光学測定装置をキラル試料の分析に適用する。特に、アミロイドβタンパク質へ適用することで、生化学試料への有効性を検証する。また、開発した円二色性測定法を現在測定可能な可視―近赤外領域から紫外域まで拡張することで、もう一つのキラル試料分析法の進展を図る。
|
Causes of Carryover |
要求性能を満たす計測機器を安価で導入できたため。
|