2017 Fiscal Year Research-status Report
Computational study of contact angles in wettability based on nano-modelings of local structures at interfaces
Project/Area Number |
17K17762
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
本郷 研太 北陸先端科学技術大学院大学, 情報社会基盤研究センター, 准教授 (60405040)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 表面・界面物性 / 化学物理 / 濡れ性 / 接触角 / 第一原理計算 / シミュレーション / ナノモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、平成27-28年度科研費・若手研究(B)(15K21023)の支援を受け実施した研究課題「半導体液体プロセスにおける微視的濡れ性制御:計算科学的アプローチ」を基盤としている。その最終成果は課題終了時には未発表であったが、本研究の実施期間中、原著論文[J. Chem. Theory Comput. 13, 5217 (2017)]として報告することができた。当該研究成果の知見を発展させた研究課題が本研究である。具体的には、固液界面を形成する特徴的な原子配列に着目し、その局所構造に対して第一原理計算による相互作用評価を行う。濡れ性接触角のヤングの式に現れる表面・界面エネルギーをこの第一原理評価で得られた相互作用で近似して、接触角を評価する。このようなナノモデリングに基づく接触角の第一原理算定は、これまで先行事例に乏しく、その汎用性評価は未検証のままであった。本研究は、界面局所構造ナノモデリングの有効性と汎用性を検証し、濡れ性接触角の第一原理算定スキームを確立することを目的としている。平成29年度は、典型的な系として、銅表面の撥水性を対象として、その濡れ性接触角を評価した。本研究では、水の構造モデルや銅・水分子界面の局所構造モデルの構築方策として、非常に簡便なモデリングを採用したにもかかわらず、接触角の実験参照値80+/-5度と非常に良い一致を与えることが分かった。現時点では、本研究で得られた結果と実験値との一致は、提案ナノモデルと第一原理手法自体に存在するアーティファクトがお互いに相殺したことによる偶然の産物であるかどうかは未検証のままとなっている。接触角評価に本質的な局所ナノ構造の解明に向け、現在、より複雑な構造モデルを複数構築し、得られた接触角の比較検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、これまで先行事例の乏しい「濡れ性接触角の第一原理評価」を実現するための「局所構造ナノモデリング」として、汎用的な算定スキームの確立を目指している。平成29年度は典型的なベンチマークとして銅表面の撥水性に取り組み、当初の予想以上に簡単なナノモデリングによって、実験値と良く一致する結果が得られた。このスキームの一般性・汎用性については議論の余地があり、現在、検証途中であるが、当該系における接触角評価に第一原理計算を適用した先行研究事例は存在せず、実際にマクロな接触角をミクロな第一原理計算によって評価できた点は、研究計画上、大きな進展であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、「銅表面の撥水性」を対象とした局所構造ナノモデリングに関する平成29年度の研究成果を原著論文としてまとめるとともに、関連学会にて発表する。これと並行して、本研究の出口課題として設定した「自己組織化単分子膜(SAM)の親水・撥水性解析」に取り組む。SAMは表面の機能性官能基を替えるとその濡れ性が大きく変化することが知られており、接触角の官能基依存性については多数の実験報告がなされている。本研究では、親水性と撥水性の2つのSAMに対して「局所構造ナノモデル」を構築し、各モデルに基づく濡れ性接触角の第一原理算定スキームを適用し、その妥当性と汎用性を検証する。平成30年度に取り組む具体的なSAMとしては、基板被覆分子鎖をHS(CH2)15Xとし、官能基分子Xとしては、親水性のメチオール基(-CH2OH/接触角=10度)と撥水性のメチル基(-CH3/接触角=110度)を対象に据える。水・SAMの構造モデリングさえ構築できれば、第一原理計算自体はほぼ定形作業となるため、当該計算の実施で雇用実績のある研究補助員に計算ジョブの管理やデータ整理を委託し、研究加速を図る。
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Research Products
(20 results)