2018 Fiscal Year Research-status Report
Computational study of contact angles in wettability based on nano-modelings of local structures at interfaces
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17K17762
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
本郷 研太 北陸先端科学技術大学院大学, 情報社会基盤研究センター, 准教授 (60405040)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 表面・界面物性 / 濡れ性 / 接触角 / 第一原理計算 / シミュレーション / ナノモデリング / 化学物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、巨視的濡れ性現象の支配方程式であるヤングの式中に現れる表界面エネルギーを固液界面の局所原子配列構造のエナジェティクスから近似評価して、巨視的な濡れ性接触角の第一原理評価スキームを確立することを目的としている。今年度は、本研究の開発スキームに対するベンチマーク研究課題として、平成29年度研究課題で一定の成果が得られた「金属銅表面の濡れ性接触角評価」の結果を原著論文に取りまとめ、平成31年度中での投稿を予定している。 本研究は、当該スキームの適用事例として「自己組織化単分子膜(SAM)の親水・撥水性解析」を出口課題に設定している。SAMは、その濡れ性接触角の官能基依存性について多数の実験報告がなされているため、本研究提案スキームの汎用性と妥当性を検証するための対象系としては最適である。今年度の研究課題で取り組んだ具体的なSAMとしては、基板被覆分子鎖をHS(CH2)15Xとし、官能基分子Xとしては、親水性のメチオール基(-CH2OH/接触角=10度)と撥水性のメチル基(-CH3/接触 角=110度)を対象に据えていた。今年度は、当該SAM構造のモデリングに取り組んでいたが、SAMの基板表面被覆率や配向等の構造自由度を多数考慮した安定構造探索に時間を要したため、当初の研究計画通りには進まなかった。そこで、研究期間を延長して、平成31年度での実施に計画を変更した。 なお、本研究課題、及び、平成27-28年度科研費・若手研究(B)(15K21023)で支援を受けて実施した濡れ性研究は、平成31-35年度科研費として採択された基盤研究(C)「分子理論・計算科学・データ科学の融合によるハマカー定数の自律型予測モデルの開発(19K05029)」へと発展し、濡れ性研究のマテリアルズ・インフォマティクス展開へと着実に進歩している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の進捗としては、局所構造ナノモデリングの容易な典型的な金属表面を対象としているが、巨視的な濡れ性現象を微視的な第一原理電子状態計算から算定することが可能となった。得られた結果・知見を原著論文にまとめている。「局所構造ナノモデリングによる濡れ性接触角の第一原理評価スキーム」の確立を昨年度の段階で達成できたことは、研究計画上、大きな進展であったと考えられる。 今年度は、本研究提案スキームの妥当性と汎用性を検証することを目的として、産業応用上の観点からも重要で、より複雑な固液界面を持つ現実系を研究対象に設定していた。しかしながら、対象系の局所構造ナノモデリングの実施段階で、当該研究課題を当初予定の研究期間内で完了することは不可能であることが判明し、次年度まで研究計画を延長することにした。具体的には、親水性の基盤被覆分子鎖HS(CH2)15CH2OHと撥水性のHS(CH2)15CH3の異なる濡れ性を示す2つの系を対象として、濡れ性接触角の第一原理算定に取り組んだが、第一原理計算の構造入力となる「局所構造ナノモデリング」の段階で困難が生じたため、予定していた研究課題を完遂することができなかった。その原因は、当該SAMの構造自由度が非常に多く、安定構造の同定に困難が生じたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、上記の通り、研究計画立案時には想定していなかった困難が生じたため、研究進捗に想定外の遅れが生じてしまった。当初の研究計画課題を遂行するために、親水性と撥水性の2つのSAMに対する局所構造ナノモデルの構築を最優先課題として取り組む。局所構造ナノモデリングを効率的に実行するための方策として、平成30年度に実施した予備的研究から、動力学的計算による構造サンプリングに有効性が見出されつつあり、平成31年(令和元年)度の前半に、局所構造の探索精度改善に取り組む次いで後半に、得られた構造入力を用いた第一原理計算を実施し、当初計画に従って接触角評価を実施する。当該構造モデリングさえ完了できれば、第一原理計算自体はほぼ定形作業となるため、当該計算の実施で雇用実績のある研究補助員に計算ジョブの管理やデータ整理を委託し、研究加速を図る。
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Causes of Carryover |
前述の通り、SAM構造自由度の問題から接触角評価に用いる局所構造の同定に想像以上に時間を要しており、研究期間の延長を行った。この計画変更に伴い、平成30年度後半に予定していた研究補助員雇用の必要がなくなり、当該研究課題の実施を予定している平成31年(令和元年)度後半に研究補助員を3ヶ月雇用する予定である(60万円)。また、平成31年(令和元年)度には、当該研究課題の実施によって発生する計算データ(サンプリング構造データと第一原理計算データ)の保存を目的としたサーバ1式の追加(40万)と原著論文投稿に係る費用(40万円)が必要となる。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Undoped Layered Perovskite Oxynitride Li2LaTa2O6N for Photocatalytic CO2 Reduction with Visible Light2018
Author(s)
Oshima, T.、 Ichibha, T、Qin K, S、Muraoka, K.、Vequizo, J. J. M.、Hibino, K.、Kuriki, R.、Yamashita, S.、Hongo, K.、Uchiyama, T.、Fujii, K.、Lu, D.、Maezono, R.、Yamakata, A.、Kato, H.、Kimoto, K.、Yashima, M.、Uchimoto, Y.、Kakihana, M.、Ishitani, O.、Kageyama, H.、Maeda, K.
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Journal Title
Angewandte Chemie International Edition
Volume: 57
Pages: 8154~8158
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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