2017 Fiscal Year Research-status Report
ミリ波ビーミング推進に資する300 GHz 大電力ミリ波放電特性の研究
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17K17764
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
福成 雅史 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 特命助教 (80786070)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ミリ波放電 / 自己組織化 / ジャイロトロン / ミリ波 / ガス放電 / 大気放電 / ハイスピードカメラ |
Outline of Annual Research Achievements |
ミリ波放電とは、ミリ波帯の大電力電磁波を用いた気中放電である。ミリ波放電はフィラメントやフィッシュボーンと呼ばれる自己組織化された特徴的な構造を持つ。入射ビーム電力の高い超臨界条件では、入射ミリ波の磁界面と電界面の放電構造が実験的に計測され、数値計算結果ともよく一致することが確認されている。しかし入射電力が極端に低い亜臨界条件での実験例は未だ少なく、放電構造の電界面・磁界面での違いや、構造の特性長、電離波面伝播速度の入射電力依存性は明らかになっていない。 そこで本研究では、303 GHz大電力ミリ波発振器ジャイロトロンを用いて亜臨界ミリ波放電での電界面と磁界面での放電構造とその電離波面進展速度を実験的に調べた。計測にはハイスピードワンショットカメラを用い高い時間分解能と空間分解能を実現した。 結果として、亜臨界条件では超臨界条件と異なり、粒上のプラズマが発生しミリ波に対し平行に進展することが分かった。電界面ではこの粒状のプラズマの軌跡が入射ミリ波に対し平行なフィラメント構造を形成する。しかし磁界面ではフィラメント構造は見られない。このことから放電は層状の構造を持つことが示唆される。先行研究では亜臨界条件での電界面、磁界面での構造はほとんど変わらないとされており、電界面と磁界面での構造の変化を捉えたのは本研究が初となる。電界面でのフィラメント間の距離は波長の0.84倍となり、170 GHzでの先行研究で得られた結果に近く、これが放電構造の特徴的な長さであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハイスピードカメラを用いてミリ波放電の構造を詳細に計測することに成功し、亜臨界条件での入射ミリ波の電界面と磁界面での放電構造の違いを捉えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
亜臨界条件での放電は集光ミラーによってプラズマを着火し開始する。その集光点では電界強度が高く放電は超臨界条件を経由して亜臨界条件へ遷移していると考えられる。超臨界条件では亜臨界条件と異なり定在波によって電離波面が伸展するため、波長の1/4の間隔で電界方向に伸びるフィラメント構造となる。そこでより空間分解能を上げ、集光点での構造を捉え、超臨界条件から亜臨界条件に遷移する際にどのように放電構造が変化するか調べる。また亜臨界条件では入射ミリ波の電界強度が電離閾値より低い中を、電離波面が進展していく。その電離の維持にはプラズマ周辺ガスのジュール加熱による膨張が寄与していると予想されているが、実験的な証拠はない。そこでレーザーを用いて周辺ガスを可視化しミリ波放電による圧力波の形成を調べる。
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