2017 Fiscal Year Research-status Report
高分子ナノ繊維表面の分子配向を利用した一次元分子修飾手法の確立
Project/Area Number |
17K17765
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
坂元 博昭 福井大学, テニュアトラック推進本部, 講師 (70552454)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナノ繊維 / 分子配向 / 高機能繊維 / 表面修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
高分子材料をナノ繊維化した際、単に細くなるだけでなく、繊維を構成する分子配向が高まることが知られている。申請者は、この点に着目し、原子間力顕微鏡(AFM)によってナノ繊維表面の構造観察を行った結果、20 nmの分子ドメインが繊維長軸方向に沿って配列することを見出した。次いで、繊維表面の分子構造変化に伴い、生体分子吸着特性が高まることを明らかにした。本研究では、繊維長軸方向へ直線的に分子が吸着しているという仮説の検証と、その工学応用として次元分子配置技術の確立を目的とする。本提案は、表面構造が制御された材料表面へ生体分子を一次元に配置させる新たな分子修飾技術へとつながることが期待される。 平成29年度は、申請者が見出した分子ドメインの配置変化について、そのメカニズムの解明を行った。ドメインの配置に影響を与えている要因を解明することで、分子ドメインを制御したナノ繊維開発への知見に繋がる。ナノ繊維の分子ドメイン配置が変化する要因としては、繊維への牽引力、ポリウレタン濃度、ナノ繊維の形状(太さ)が考えられる。そこで、ポリウレタン溶液からエレクトロスピニング法により各条件におけるナノ繊維を作製した。その繊維構造を観察したところ、牽引を強く受けた繊維がもっとも分子配向が高まっていることを明らかにした。その結果を元に、タンパク質の吸着評価を行ったところ、高い牽引力を受けたナノ繊維が、タンパク質吸着能が高まることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ繊維の分子配向は、繊維への牽引力により変化することは知られていた。本課題においては、繊維の表面構造に着目して解析した結果、牽引力が支配的な要因であるという仮説通りの結果を得ることができた。さらに、その表面へのタンパク質吸着挙動を評価したところ、牽引力の差、すなわち表面構造の変化にともないタンパク質の吸着量が変化するという現象を見出した。得られた成果については国際学術論文へ投稿し、受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
タンパク質吸着が変化する原因を探るために、表面電荷(PI)の異なるモデルタンパク質を用いた評価、イオン強度、界面活性剤による吸着量の影響を評価することで、どのような相互作用によって吸着特性が変わっていくかを検証する。同時に、得られたナノ繊維表面の分子ドメインの直線配置と吸着量の関係を明らかにする。さらに、吸着したタンパク質がどのように吸着しているか観察する。
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Research Products
(6 results)