2018 Fiscal Year Research-status Report
ライブイメージングと定量化による心臓前駆細胞の移動制御機構の解析
Project/Area Number |
17K17775
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
森田 仁 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任助教 (20767701)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 心臓形成 / 細胞移動 / ライブイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
脊椎動物の発生において、心臓形成は器官形成期の中でも初期に起こり、その前駆細胞群が同 調した移動を伴うダイナミックな現象である。モデル脊椎動物であるゼブラフィッシュにおける 心臓形成過程では、心臓前駆細胞が体節形成期に両外側から正中線に向かって移動し、正中線上 で融合することにより一つの心臓が形成される。この時、心臓前駆細胞は隣接する内胚葉細胞と細胞外マトリックスを足場にしながら移動することが知られており、これらの組織形成に異常が あると、心臓前駆細胞の移動異常により心臓が左右に分かれた二股心臓となる。本研究では、これまで十分に調べられていない心臓前駆細胞の細胞動態について、共焦点顕微鏡を用いてライブイメージングする実験系を確立し、得られた画像データをもとに心臓前駆細胞の動きを時空間的且つ定量的に解析した。ライブイメージングの対象として、正常胚の他、心臓前駆細胞の移動に必要なスフィンゴシン-1-リン酸(S1P)シグナルの欠損胚も解析を行った。その結果、S1Pシグナル欠損胚の心臓前駆細胞は正中線とは異なる方向に移動するものが多く存在することが分かった。これはS1Pシグナルが細胞の移動方向の決定に必要である可能性を示唆しており、これまで行われてきた組織レベルでの解析からは分かり得なかった新たな発見である。 また、S1Pシグナルに関与する分子(輸送体Spns2、受容体S1PR2)の分子動態を可視化するための、ノックインゼブラフィッシュ系統の作製をCRISPR/Cas9のゲノム編集システムを用いて試みてきたが、現在のところ十分なノックイン効率が得られていない。他のノックイン手法の使用も検討するなどして、改善を図っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心臓前駆細胞をライブイメージングするための系を確立させ、正常胚とS1Pシグナル欠損胚の心臓前駆細胞の移動パターンを定量的に解析し、比較したことによって、S1Pシグナルが心臓前駆細胞の移動に与える影響の特徴を抽出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ライブイメージングと定量解析によって得られた結果をもとに、心臓前駆細胞の移動におけるS1Pシグナルの機能についてより詳細な解析を行う。具体的には、シグナルの下流で機能する分子の探索や、移動する心臓前駆細胞におけるS1Pシグナル関連分子の局在の解析を行う。後者の解析には当初ノックイン系統を用いる予定でいたが、まず免疫染色法を用いるなどして固定胚で時系列的解析を行う。
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Causes of Carryover |
研究の進捗に合わせて交付申請時の研究計画に若干の変更を行った結果、次年度使用額が生じた。次年度も研究の進捗に合わせて計画に沿った使用を行う。
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