2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the expression mechanism of the glycosyltransferase alpha4GnT that biosynthesizes the gastric adenocarcinoma suppressor alphaGlcNAc
Project/Area Number |
17K17779
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小村 仁美 信州大学, 医学部, 特任助教 (30616032)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 胃癌 / 分化型腺癌 / αGlcNAc / α4GnT / A4gnt欠損マウス / マウス胎児 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室では、胃粘膜液中の糖鎖αGlcNAcを生合成する糖転移酵素α4GnTを単離し、その遺伝子欠損マウスであるA4gnt欠損マウスを作製した。全てのA4gntマウスで胃の幽門部に分化型腺癌が自然発症したことから、αGlcNAcは分化型腺癌の発生を抑制する因子と考えられるが、その詳細なメカニズムは不明である。A4gnt欠損マウスは、生後早い段階で胃の幽門部に過形成を引き起こすことから、病理学的変化に至る要因の解明には、胎児期の解析が必要であると考え、実験を行った。 TaqManリアルタイムPCR法を用いた実験系を確立し、胎児胃のmRNAの定量的解析を行った。現在までに、α4GnT および、αGlcNAcが結合するムコチンコアタンパク質MUC6や、癌との関連が報告されているMuc6結合ペプチドTFF2やTFF1の発現量の変化を明らかにした。野生型マウスでは、α4GnTは、E13.5から発現し、E19.5にかけて増加する。MUC6、TFF1、TFF2は、E15.5から発現が上昇し始め、特に、TFF1とTFF2では、E18.5から急激に発現上昇した。A4gnt欠損マウスでは、MUC6、TFF1、TFF2において、野生型マウスと比較して顕著な発現量の減少が観察され、MUC6ではE19.5において約60%の減少が見られた。TFF1とTFF2では、約94%もの発現減少が見られた。次に、αGlcNAcの特異抗体であるHIK1083抗体もしくはTFF1とTFF2それぞれの特異抗体を用いて、免疫蛍光組織染色を行った。その結果、野生型マウスではE15.5以降でαGlcNAcの局在が確認された。また、A4gnt欠損マウスでは、TFF1の局在部位に変化が見られなかったが、驚くべきことに、Tff2は、A4gnt欠損マウスの幽門腺のみに観察され、胃底腺での局在が消失することを確認した。
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