2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of internal quality evaluation method for wood based materials by using unidirectional diffuse optical tomography
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17K17783
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小堀 光 静岡大学, 農学部, 助教 (20612881)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 近赤外光 / 拡散光トモグラフィー / 光拡散シミュレーション / 木質材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
近赤外領域の光が有機材料内で直進せず散乱する性質を利用しして、1方向からの光照射のみで材料の内部状態を可視化する『平面方式拡散光トモグラフィー』を提案した。本年度は、透過画像から内部の画像を再構築する手法の確立を目的としたコンピューターシミュレーションを実施した。 1.二次元平面の媒質内における光拡散モデルを作成し、シミュレーションから得られた透過光強度分布を基に、中間面の相対光強度分布の再構成が可能であることを実証した。 2.同モデルを3次元空間に拡張し、板状の媒質の底面から垂直に光を入射した場合の、中間面から透過面への光伝搬を表す4次元配列を算出した。これを用いて、透過画像から中間面の相対光強度画像が逆算可能であることを実証した。 3.次に、底面の様々な位置から光を入射し、中間面を再構成する場合の最適な光入射間隔の検討を実施した。その結果、媒質の光学特性値と、再構成したい中間面の深さによって、最適な光入射間隔が異なることを明らかにした。 4.本手法の応用例として、ウッドプラスチックコンポジットなどの内部に存在する異物の検出が想定されるが、実際の測定では異物の位置や形状はさまざまであり、かつ光入射点と異物の位置関係も不明である。そこで、様々な深さや位置に異物が存在する場合の透過画像をコンピューターシミュレーションにより作成し、様々な深さに存在する異物が同時に検出できるかどうかの検討を行った。その結果、光入射位置の真上に複数の異物が重なって存在する場合、最も入射面に近い異物の存在する位置で相対光強度分布を算出した場合、位置で相対光強度分布を算出した場合のみ、異物の形状を正しく算出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、研究計画調書の通り、コンピュータシミュレーションによる二次元の光伝搬モデルの作成を行い、本手法により透過光から中間面の相対強度分布の逆算が可能であることを示した。また、このモデルを3次元に拡張し、板状の媒質の底面から垂直に光を入射した場合でも、2次元の場合と同様に透過光強度分布から中間面の相対光強度分布を逆算できることを示した。また、実際の計測では1か所からの光入射だけではなく、様々な位置から光を入射することを想定しているため、最適な入射間隔の検討も行った。さらに、様々な深さや位置に異物が存在する場合の透過画像をコンピューターシミュレーションにより作成し、様々な深さに存在する異物が同時に検出できるかどうかの検討を行った。 コンピューターシミュレーションにより上記の検討を行うにあたり、実際の測定時に生じる計測誤差などに対応するため、透過光強度分布にランダムノイズを加えてモデルの堅牢性も考慮した。また、作成した光拡散シミュレーションプログラムは、媒質の寸法や光学特性値、異物の位置や形状などを自由に変更できるようになっており、様々な対象の測定に対応できるようにした。当初計画にあったモデル溶液の測定は実施できなかった代わりに、シミュレーション上複数の位置から光を入射した際の最適な入射間隔を検討するなど、実測条件に即したシミュレーションの検討を追加したことから、進捗状況はおおむね順調であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、実際に近赤外カメラとレーザを使用した透過画像計測システムを使用し、モデル溶液(光学的に均質な媒質)を用いた計測を行う。モデル溶液の透過画像と、平成29年度に作成したシミュレーションプログラムから得られた中間面から透過面への光伝搬を表す4次元配列を使用して、中間面の相対光強度分布の算出を行う。モデル溶液は厚みや濃度を様々に変化させることで、構築した透過画像計システムでの検出限界を検討する。モデル溶液を用いた検討の後、測定対象を固体(ウッドプラスチックコンポジット、光学的に不均質な媒質)に変更し、同様の測定とシミュレーションを行い、中間面の再構成が可能であるかどうかを検討する。ウッドプラスチックコンポジットは木粉充填率を変化させることで光学特性値を変化させ、また、既知の異物を内部に設置することで、中間面再構成時に異物検出が可能であるかを評価する。 上記の検討に並行して、コンピューターシミュレーションの改善と、新たな中間面再構成手法の検討を新たに行う。平成29年度に作成したシミュレーションプログラムは、一つの4次元配列を計算するために長時間を要するため、これを短縮できるよう、計算の簡略化を検討する。また、平成29年度の検討により、光入射位置と異物の位置関係によっては、正確な中間面の相対光強度分布を算出できないことが明らかとなった。そこで、再構成する中間面の深さに応じて、相対光強度分布を再構成する範囲を限定するなどの検討を実施する。相対光強度分布の算出ではなく、透過光強度のコンボリューションによる中間面の光強度分布の再構成など、新たな中間面の再構成手法を検討する。
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Causes of Carryover |
論文投稿および学会参加を次年度としたため、次年度に使用予定である。
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