2018 Fiscal Year Research-status Report
植物栽培培地内可視化のための小型かつ高性能な水分量・イオン濃度センサ研究開発
Project/Area Number |
17K17785
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
二川 雅登 静岡大学, 工学部, 准教授 (90607871)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インピーダンス計測 / 周波数微分 / 水分量 / イオン濃度 / 土壌計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
微弱な電流の検知が必要な低い水分量の土壌で計測できる高感度検出型土中水分量・イオン濃度センサの実現を目指している。これまで、リーク電流が混入する電極部に保護電極を配置した新たなセンサ構造を提案しデバイス開発を行った。平成30年度では、このデバイスを使った信号の揺らぎに強い|Z|周波数微分-位相変換法の理論的な証明と実測での効果検証を行った。この成果に対し特許1件を出願完了させ、関連結果を学術論文誌に投稿することができた。 前年度に開発した保護電極付きインピーダンス計測デバイスを駆動させ、|Z|周波数微分-位相変換法を実現するためには、オペアンプ型電流計と複数の周波数で計測できる新たなセンサシステムの開発が必要であった。そこで、これまでに開発してきた単一周波数(10 kHz)で動作させるセンサ駆動回路を元に、2 種類の周波数(10 kHz と100 kHz)を発振・検出でき、保護電極が駆動できるよう、電流検出部をオペアンプの仮想接地機能としノイズ除去のためのフィルタの調整を行うことにより、新たなセンサ制御基盤の設計・開発を実現した。また、現地計測を視野にいれ、ソーラーパネルなどの電力で駆動できるよう、待機時の低消費電力化も併せて行い、冬などの日射量の少ない時期でもメンテナンスが不要なシステムを開発することができた。 この開発した制御基盤を用い、現地での連続計測を実施し、|Z|周波数微分-位相変換法による水分量変化を観察することに成功することができ、その成果を学術論文誌へ投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年目となる平成30年度も、研究計画通りに進捗している。 新たに開発した微弱電流検出が可能な保護電極付きセンサデバイスが駆動できる制御基盤の開発を成功させることができ、山の斜面での連続計測を実施できた。開発した制御基盤は、保護電極を駆動させるため、電流検出部を仮想接地できるオペアンプ式の電流計へと改良を行った。また、|Z|周波数微分-位相変換法を行うため、10kHzと100kHzの複数周波数についてタイミングを分けて発振・検知できるよう、ハード、ソフトの両面で開発を行った。このとき、現地計測を視野にいれ、ソーラーパネルなどの電力で駆動できるよう、待機時の低消費電力化も併せて行い、冬などの日射量の少ない時期でもメンテナンスが不要なシステムを開発することができた。 この開発した制御基盤とセンサを用い、現地での観察を行った結果、降雨などによる土の水分量変化を捉えることに成功した。今後はこのセンサシステムを用い、農業現場での連続計測を行い、実仕様環境下での安定性、データの信頼性を立証していく。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究は予定どおり進捗しており、今後の研究方針に変更はない。 センサデバイス、制御基盤、算出アルゴリズムの確立ができているため、最終年度の令和元年度では、農業現場での直接・連続計測を実施する。センサから得られたデータの妥当性検証のため、培地の重量を定期的に観測し、水分量の変動を計測していく。また、培地内液体をスポイトを用いて採取し市販の養分濃度センサで計測を行うことにより比較データを取得する。本研究成果が、市販のセンサではできなかった、培地内環境の精密制御を可能とするツールであることを立証していく。
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